2004年12月に書いたものだけど、「慶応2年から平成20年までのベストセラーをリストにしてみた」を書いて思い出したので、蔵出ししておく。
     文中の「15年ほど前」は「20年ほど前」に差し替えた。




     15年ほど前20年ほど前、本屋に就職した知り合いと話したのは、
     どうも本屋と本読みの利害は一致しない、そればかりか相反するところが多い、ということだった。

     その後の10年間(90年代)というのは、どういう時代だったかといえば、

    ・本の刊行点数は、10年間で倍増した
    ・その一方、総売上は減少した
    ・書店は、10年間に1万店が閉店もしくは廃業した
    ・その一方、大型書店の開店があいつぎ、売り場の総面積は倍増した

     本と言うのは不思議な商品で、売れなくても、納品さえすれば、とりあえずお金が入る。返品分はあとで差し引くというシステムなので、とにかく新刊を出し続けていくかぎり、お金が入って、資金繰りが可能になる。

     1つの本の販売部数が伸びない(本が売れない)から、出版社はたくさんの本を矢継ぎ早に出す。
     新刊点数は8万点に迫っている。
     一方で、本屋は2万店しかないから、必然的に多くの本屋で「新刊書すらない」事態となる。
     1つの本の販売部数が伸びない(本が売れない)から、書店もできるかぎり多くの本を並べたい。だから大型店鋪が増える。

     ところが書店に並べられた本のすべてが売れる訳ではない、返本率は4割ぐらいだから、実は、本屋に送りだした(そしてすでに金を受け取ってしまった)本の4割について、金を返さなきゃいけないのである。
     この見えない借金が、本屋の床面積が増えたことで、実はますます増えているはずである。本屋の本棚に並んでいるもの、あれは「在庫」なのだ。
     返金のための資金を得るために、ますます新刊書を納品しなければならない。まさに悪循環。

     本が売れるかどうかは、かなりバクチな要素が強い。
     だから、どの出版社も、プチ流行に乗っかろうとする。
     だから、同じ著者の、似たような内容の本ばかりが本屋に並ぶ。
     小さなパイの奪い合いで、それすら成功するかどうか分からない。
     新刊書を次々だすということは、バクチの回数がそれだけ増えることだから、はずす機会もまた増える。

     15年ほど前20年ほど前、本屋に就職した知り合いは、その頃、某宗教団体がどんどん持ってくる(並べてくれと言ってくる)その教団関係の本のスペースを、どうやって小さくするかに頭を悩ませていた。

    新刊発行点数

    ソース: (株)出版ニュース社「出版年鑑」

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