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     いきなり別の本の話を枕にするが、『カチン族の首カゴ』という本がある。

     陽気な人好きする性格の日本兵が、カチン族といういわゆる人食い人種に迎えらえて王様になるというドキメンタリーで、王様になった本人が書いている。
     それもカチン族だけでなく、戦争中だから戦争の邪魔になるとイギリス軍に見捨てられていったイギリス女性や子供達もいて、彼らも日本兵の王様を慕う。
     彼は非常に善政を敷いて、戦勝国のどこにも成立しなかったようなインターナショナルな共同体を作ってしまう。
     最後に日本軍に見つかって帰還命令が出る。
     カチン族も他の人たちも是非残ってくれというのだけれど、本人もこのまま帰って人殺しに荷担するよりも、この人たちのために王様でいることの方が人間として尊い生き方のような気がするのだけれど、結局泣く泣く帰っていく。
     やがて、日本軍とカチン族は敵となり、時は流れ、日本は敗戦を迎える。



     『ルワンダ中央銀行総裁日記』もまた中央銀行総裁となった本人の手になるものである。
     1964年、日本銀行にいた服部氏にIMF(国際通貨基金)から、アフリカの小国ルワンダの中央銀行総裁になってくれないかとオファーが来る。

     当時、ルワンダはまだできたばかりの、ひどく貧乏な国である。
     オランダ人の初代総裁が病気で帰ってしまって、その穴埋め。
     行ってみると、外国人の技術顧問がすべての大臣にくっつき、適当な事をふきこんで、自分たちと自分たちを派遣している国のため、暴利をむさぼっている。
     一部商人も右に同じ。
     しかも課題は山済み、すぐにでも通貨切り下げやら、二本立ての為替制度の大改造やら、やらなくてはならない。
     いずれもこの貧窮の国に致命的打撃を与えるかも知れない大手術であり、施術後の手当も考えなければならない。

     なにしろ、中央銀行の金庫に金がない。

     スタッフも絶対的に不足している。
     一国家をあずかる中央銀行の帳簿を、総裁自らつけなければならないほどである。

     それでも服部氏は奮戦する。

     大統領に筋の通った説明をし、経済計画を作り、IMFを脅しなだめ、悪徳商人たちを牽制し、物資の輸入がとまらぬように弱小商人の国境密輸には目をつぶる。
     あの手この手のオモテ技、ウラ技を駆使してなんとか軌道に乗せ、次代を担う銀行スタッフの育成にも当たる。
     活躍はすでに中央銀行総裁の域を越え、税制改革から民間銀行の設置、農業生産の増強にもつとめる。
     悪徳商人が牛耳っていた流通面を改革するために、倉庫株式会社を設立し、トラックを整備工具とともに自ら輸入し、あげくの果てには公社をつくって、日本から中古車を輸入し、公営バスまで通したりする。

     そして、やるべき以上のことをやり遂げた総裁にも、やがてこの国から別れる時がやってくる。

     1972年に書かれた、ドラマティックでエキサイティングなこのノンフィクションは、アフリカ小国の未来への希望で結ばれている。
     我々はその後、この国がどうなったかを知っている。この本に登場するカイバンダ大統領に、1973年のクーデターで、国防相のハビャリマナがとってかわり、その後もつづく、多数派フツ族と少数派のツチ族との対立・紛争の中、ハビャリマナ大統領と隣国ブルンジのヌタリャミラ大統領の乗った飛行機が攻撃され、両者が死亡、その後、記憶に新しい大虐殺が起こり、多数のルワンダ難民が生まれた。

     最近、1994年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、復刊された。


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