たとえば、ある犯罪で100人のヒトが捕まったとする。
     刑期を終えて,このうち1人が再び同じ犯罪をして捕まったとする。
     いわゆろ再び罪を犯す割合はいくらだろう。1人/100人=1%でいいのだろうか?

     警察庁が公開している統計で「平成15年の犯罪」には、
    「43 罪種別 初犯者・再犯者別 再犯者の前回処分別 検挙人員」.
    http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf
    というのがある。
     つまり、「ある犯罪で捕まったヒトが,以前に犯罪をしているか」についての統計である。
     さっきの例でいうと、この場合の「ある犯罪で捕まったヒトが,以前に犯罪をしてい割合」は、1人/1人=100%となる。

     つまりこの「ある犯罪で捕まったヒトが,以前に犯罪をしてい割合」というのは、一度犯罪を犯した人のうちどれだけの人が再び犯罪を犯すかに関係なく、その犯罪への新規参入が少なければ少ないほど、高くなる訳である。
     ところが、これを、報道などでは「再犯率」として報じているケースが結構あるらしい。

     ちゃんとこの辺の事情を明確にするために、実は「再犯者率」という言葉がある。
     「再犯者率」とは、検挙または処分された犯罪者のうち再犯者が占める割合、である。
     さっきの例でいくと、「再犯者率」=検挙または処分された犯罪者のうち再犯者が占める割合= 1人/1人=100%となる。
     そして、警察庁の統計資料「平成15年の犯罪」には、この「再犯者率」は掲載されていても「再犯率」そのものは掲載されていない。なのに「再犯者率」は、エセ「再犯率」として、流布・流通する。

     例えば先に述べた「平成15年の犯罪」の「43 罪種別 初犯者・再犯者別 再犯者の前回処分別 検挙人員」からデータを拾うと、

    「強姦」で逮捕された1342人のうち
    初犯者が676人
    再犯者が666人
    従って逮捕者全体に対する再犯者率は49.6%である。

    「強制わいせつ」であれば、
    2273人のうち
    初犯者1338人
    再犯者935人であり、
    再犯者率は41.1%である。


     実は、年度によっては、「犯罪白書」に、「仮出獄・保護観察付き執行猶予者が保護観察期間中に再度罪を犯して入所した確率」が罪名別に掲載されている(たとえば「平成12年版 犯罪白書」第2編/第5章/第3節/4 保護観察の実施結果 (2) 再犯及び再入所の状況)。
     全数を追跡調査しているわけではないのと、保護観察対象者が別の犯罪で再逮捕されてもカウントされるなど問題はあるが、ほんとの再犯率と再犯者率がどれくらい違うか、の参考にはなるかもしれない。

    仮出獄者:
    1.殺人(3.1%)
    2.強盗(3.0%)
    3.強姦(2.5%)
    4.強制わいせつ(1.7%)

    保護観察付き執行猶予者:
    1.窃盗(41.5%)
    2.覚せい剤取締法違反(37.4%)
    3.傷害(35.6%)
    4.詐欺(35.6%)



    (関連記事)

    この国はオヤジが最も人を殺す/松沢哲朗・長谷川寿一『心の進化』 読書猿Classic: between / beyond readers この国はオヤジが最も人を殺す/松沢哲朗・長谷川寿一『心の進化』 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加




    犯罪統計入門―犯罪を科学する方法 (龍谷大学矯正・保護研究センター叢書)犯罪統計入門―犯罪を科学する方法 (龍谷大学矯正・保護研究センター叢書)
    (2006/01)
    浜井 浩一

    商品詳細を見る


    防犯・防災関係データ集〈2006〉防犯・防災関係データ集〈2006〉
    (2006/05)
    日本能率協会総合研究所

    商品詳細を見る


    新犯罪社会心理学新犯罪社会心理学
    (2004/09)
    高橋 良彰渡辺 和美

    商品詳細を見る


    更生保護制度改革のゆくえ―犯罪をした人の社会復帰のために更生保護制度改革のゆくえ―犯罪をした人の社会復帰のために
    (2007/06/01)
    刑事立法研究会

    商品詳細を見る


    グラフでみるアメリカ社会の現実―犯罪・家庭・子ども・教育・文化の指標グラフでみるアメリカ社会の現実―犯罪・家庭・子ども・教育・文化の指標
    (1996/10)
    ウィリアム J. ベネット

    商品詳細を見る


    関連記事
    スポンサーサイト
    Secret

    TrackBackURL
    →http://readingmonkey.blog45.fc2.com/tb.php/164-ae90fe5d