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     某所で消費者金融の記事にコメントをつけながら、かつてはその代わりとして機能していて、今はほとんど見られないものに、頼母子講等の相互金融があることを思い出していた。


     たとえば沖縄では、ユイマール(日本史でいうところの結(ユイ)から来てる?)という相互金融がよくのこっていて、サラ金があまり入り込む余地がないと、中村尚司氏が『地域自立の経済学』に書いている。


     頼母子講は日本でも中世からつづく庶民金融である。

     たとえば宇野千代が初めて買った札幌の家は、お仕立てでためた金を頼母子講で運用して買ったものだった。

     山梨県内の飲食店では今も「無尽承(むじんうけたまわ)ります」のはりがみがよく貼ってある。
     これは「無尽講」のことで、掛け金を毎月持ち寄り、仲間内で順番に融通し合う。
     現在は、金銭絡みは減り、気心の知れた仲間と、食事をしながら交流する寄り合いの面が強い。
     職場や出身校、隣近所など様々な単位で行われるが、月1度の定期開催が原則として引き継がれている。
     山梨大の研究は、この無尽が健康・長寿によいのだそうだ。


     いまや「第二地方銀行」になってしまった、かつての相互銀行は、その昔は一定の口数と給付金額とを定め、定期的に掛け金を払い込ませて、一口ごとに抽せん、入札その他これに準ずる方法により掛金者に対して金銭以外の財産の給付をすること(無尽)を営業として行う無尽会社(むじんがいしゃ)であった。
     つまり頼母子講のようなものを専門に引き受ける会社であった。
     (頼母子講と無尽の異同は、わかったようなわからんような細かい話になるので、ここでは「似たようなもの」として押し通していく)。
     戦前および戦後すぐの段階では、無尽会社は多数存在したが、1951年の相互銀行法(昭和26年法律第199号。現在は廃止されている)の制定に伴い、1社を除く全ての無尽会社が相互銀行(現在の「第二地方銀行」)に転換した。
     現在営業している無尽会社は、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・山梨県を対象に土地や建物の給付を行う「日本住宅無尽株式会社」(UFJグループ)http://www.nihon-jm.co.jp/のみである。


     似たようなものは、世界中にある。

     古代ギリシアでも、Lysias弁論集にも「講仲間の悪言の告発」なんてのが残っている。

     韓国では今も頼母子講は盛んで(契(ケ)と呼ばれている)、今風に整形手術のための契なども盛んらしい。
     『シルミド』という映画に出演した全ての俳優たちは自発的に「頼母子講」も作り、今も1カ月に1度以上は集まりを持っているらしい。

     ブラジルでは、「コンソルシオ」と呼ばれる頼母子講で、庶民がバイクを買う。
    「バイクは欲しいけれども現金一括では買えない」
    「クレジットは金利が高く、審査も厳しく使えない」
    「月々少しずつだったら払えるのに」
    といった人たちがある程度の人数集まり、毎月お金を出し合って1台ずつバイクを買い、くじ引きで当たった人から順番に引き取っていくシステムである。
     あるバイク会社の年間販売台数の半分は、このコンソルシオをつかって買われたものだという。


     現在では、頼母子講といってもイメージしずらい人が多いと思う。

     以下に、京都のとあるコミュニティで現在も行われている、頼母子講のやり方を紹介しよう。


    0.まずベースになるのは、集団型の積み立て貯金です。
     たとえば、10人のメンバーが集まり、一ヶ月に5万円を1年間(12ヶ月)行うとしましょう。
     つまり一月分として50万円のお金が集まり、最後には600万円のお金が集まることになる訳です。
     積み立てが満期になれば、それをまた10人のメンバーで分配し、つまり各人が60万づつ手にする訳です。

    1.ところで積み立てが満期になるまで待てない人がいます。至急にお金が必要な訳です。
     毎月の積み立てには、メンバーがお金を持って集まります。

     これには理由があります。
     毎月の集まりでは「入札」を行います。その月にお金が必要な人は複数いるかもしれません。
     メンバーは各自、様々な状況を考えた上で、5万円以下の金額を書き込んだ札を箱に入れます。
     もっとも低い金額(ここでは、例えば4万5千円としましょう)を書き込んだ人が、その月集まったお金をすべて借りることができます。
     今、「落札額」となった4万5千円は、今月の各メンバーの積み立て金額となります。
     従って、今の場合は、10人が4万5千円を出し合い、集まった計45万円が、入札した人のところへ貸し出されるのです。

    2.しかし、その月に集められるはずの金額は10人分で50万円でした。
     したがって、45万円を借りた人は、期日までに50万円を返さなければなりません。
     どれだけを借りても(借り入れ金額は落札額に左右されます)、返済額は50万円です。
     より低い金額を書けば、落札しやすくなりますが、手にする金額も減少します。
     加えて返済額は一定ですから、返済のために補充すべき金額が上がり、結果としてより高い利子で借りるのと同じ事になるのです。

    3.一方、落札者以外のメンバーは、本来なら5万円払わなければならないところ、より低い額を出せば済んでしまうのです。
     そうして、満期になれば、手元に戻ってくる額60万円は変わりません。
     つまり、至急お金が必要な人が毎月いればその分積み立て額が減り(たとえば4万5千円の落札額なら5000円が儲かりました)、戻ってくるお金は変わらないわけで、より高い金利がついたのと同じになります。

    4.借り手は、高利ではあるが、審査も面倒な手続きなくすぐに借りられるメリットがあります。
     どうしてもその月にお金が必要な人は、あらかじめ落札しそうな額を講の主宰者(講元、親)と打ち合わせておくこともできます(このあたりインフォーマルな調整機能があるわけです)。
     積み立てる側のメリットはもちろん、高い利息です。
     営利目的といっていいギスギスしたものもありますが、満期にメンバーで旅行に行ったりゴルフに行ったりする親善目的のものもあります。

    5.もちろんお金を借りた落札者が返済しないというリスクはあります。
     その場合は講元の責任で肩代わりします。
     講の主宰者(親)はそうならないようなメンバーを選びます。
     借り手と貸し手が同じグループに属することが、持ち逃げのリスクを下げているかもしれません。
     またタノモシは普通、濃い人間関係(しばしば血縁関係)の間でメンバーが選ばれます(だから誘われたら断りにくい)。
     普段からの信用の問題と、裏切ったときの犠牲が大きいこと、加えて逃げてもどこへ取り立てに行けばいいのか、立ち回り先はどこかが、その人間関係から明らかになるので、これまたリスクを下げます。

    6.したがって講元には、財力やリーダーシップなどが問われます。
     地域や一族の有力者がなることが多いゆえんです。

    7.複数の、時に非常におおくのタノモシに参加している人もいます。
     大阪のまちのタノモシに参加するために、毎月通っていたりします。
     家を買うためであったり、財産を作るためだったり目的はさまざまですが、かなりの活用ぶりです。
     平均的な預金金額を遙かに上回る金額を、タノモシで運用しているのです。
     全体的に見ても、かなりの繁盛ぶりです。

    8.プロの金融屋さんが事業に失敗して、参加していたタノモシから借りた金を返せず、タノモシから追いかけられている人までいます。
     プロも裸足で逃げ出すタノモシです。


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    近代日本金融史文献資料集成(庶民・中小商工業金融機関編)23巻には、

    ・社会的制度上ヨリ観察シタル頼母子講
    ・稿本無尽の実際と学説
    ・青森県下に於ける小口金融機関特に十銭講及頼母子講に就て、徳島県下に於ける頼母子講の特異性に就て、沖縄県下に於ける旧慣模合に就て
    ・頼母子講ニ関スル調査
    ・道府県頼母子講取締規則集
    ・頼母子講ノ現状及道府県ニ於ケル其ノ取締状況

    といった頼母子講についての資料がある。
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