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    五月二十三日

     八時に起きる。藤田高田二君からの葉書と金星会へ二戸の小田嶋孤舟からの歌が来た。

     “病院の窓”の筆を進めて62枚目。

     昼頃、On the eve を読み終った。ツルゲーネフは矢張十九世紀の文豪で、予は遂に菊坂町の下宿に居て天下を狙って居る野心家であった。彼は死んだ人で、予は今現に生きている……

     彼は小説をあまりに小説にし過ぎた。それがもし真の小説なら、予は小説でないものを書こう。

     予は昨晩彼と競走しようと思ったことをここに改めて取消す。余の競走者としては、彼はあまりに古い。話上手だ、少し怠けた考えを持って居る。予は予の小説を書くべしだ。


              +→失恋→涙→意気地なし→死。
              ↑
    誕生→恋→熱烈な恋→+→結婚→+→善良なる夫→父→死。
                   ↓
                   +→夫婦喧嘩→意気地なし→死。


    これ(上図)は十九世紀までの小説に現われたる人の一生であるが、今はよほど変わった(下図参照)。


            +→失恋→第二の恋→第三の恋→……死。
            ↑
       恋    ↑ 「わが心君を忘るる、天地
    誕生→恋 暴風→+→に家するしらぬ浪人といへ」→コスモポリタン→死。
       恋    ↓ と歌う人
       恋    ↓
            +→結婚→+→不安→苦悶→第二の恋→第三・第四→……死。
            ↓    ↓
            ↓    +→父→平凡なる悲劇の主人公→死。
            ↓
            +→生殖の器官→無意義→死。


    (石川啄木 明治41年5月の日記  亀井勝一郎篇『世界教養全集別巻3 東西日記・書簡集』(平凡社)収録)




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    (まったく蛇足だが、文字の並びが崩れてしまう人のために、啄木の図を清書してみた)

    story1.png


    これ(上図)は十九世紀までの小説に現われたる人の一生であるが、今はよほど変わった(下図参照)。


    story2.png

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