英語の論文を読むと、
    ・主張は現在形
    ・データは過去形
    ・先行研究は現在完了形

    で書かれていることが多い。

     なんとなれば、
    ・「主張」は、(領域が限定的で条件付きであっても)普遍妥当的な命題を
    ・「データ」は、その作り方を込みで、どういう風に実験したか、調査したか、という既定事実を、
    ・「先行研究」は、本論文が、どんな学問的ネットワークの中でどう位置づけされるのかを述べているからである。

     過去時制と現在完了の違いが分からないという人には、上のような話をする。
     しかし論文を書いたことがない人もいるので、ピンと来ない場合もある。
     そんな時には、次のような話をする。
     
      I didn't see her this morning.  過去時制

      I haven't seen her this morning. 現在完了

     どちらの文でも、I(私)は、今朝、彼女に会っていない。
     両者の相違は、だから別のところにある。

     過去時制は端的に「彼女に会えなかった」という《過去の事実》を述べている。
     そのように言う「I(私)」にとって、「(彼女と会えなかった)今朝this morning」は、もう終わった、過ぎてしまった過去だ。

     だが、現在完了は違う。
     ここでも「I(私)」は、彼女に会えた訳ではない。
     けれども、「(彼女の会えなかった)今朝this morning」は、「I(私)」にとって過(ぎ)去(った)ことではない。
     「I haven't seen her this morning.」と言うかぎり、彼女に会うまで、「I(私)」はずっとその「今朝this morning」の中にいる。

     待つ者は、待つかぎり、待ち続けるかぎり、「彼女は来なかった」とは言わない。何故なら、それは《過去のことではない》からだ。
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