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     物事の調べ方にはいろいろあるが、新しいトピックだと、なかなか適当な文献が見当たらないことも多い。

     先日も書いたが、本に載っているのは「最新」の情報ではない。書いたものが本になるまでには、かなりの時間がかかるのだ。

     さて、研究は「早い者勝ち」の世界だから、誰も手をつけてないことか、まだあまり手がつけられていないことをやることになる。そのため取り扱うトピックはよりマイナーになっていく。


     どマイナーなトピックなど、書いても売れないから、書店で買える書籍にはならない。では、それはどこにあるか?

     答:博士論文にある。



     新しく、いっぱしの研究者になろうとする者が書く博士論文。

     新参者が、すでに分厚い先行研究がある(その業界では)メジャーなトピックにチャレンジしようというのは、これまでの蓄積をひっくり返せる何年に一度出るか出ないかという実力者か、単なる勘違い野郎である。
     もっと慎ましやかな庶民研究者は、もっと隅っこで、ほじくるような研究をやる。あるいはまだ、あまり手がついていない目新しいことをやる。

     イントロダクションには、「@@についてはこれまでたくさん論じられているのに対して、**について書かれたものは、$$と##ぐらいのもので、***ともなるとほとんど研究が無い(だから、おれがやる)」といったことが宣言されるだろう。


     博士論文は、若手研究者のニッチ狙いの残骸だ。しかし立場を変えれば、マイナー・トピックの宝庫だ。


     しかも、博士論文は、それを書いた者が、いっぱしの研究者と名乗ってよい程度の、研究のイロハは身につけていることを、証拠立てる「物証」である。
     書いた者が、先行研究を徹底的に調べ上げ、それらと自分の研究との位置関係を明示し、研究者コミュニティのなかに自身を位置付けるものでなければならない。
     これも、立場を変えてみれば、中身はどれほどつまらなくても、自分の研究の前提/コンテクストとなる先行研究については、ほぼこれ以上ないくらい調べ上げ、これまでの研究の流れと蓄積が適切に要約されているはずである。でなきゃ、突き返されてるだろう。

     というわけで、博士論文は、どマイナーな、あるいは最新すぎて解説書なんてないトピックについて、手っ取り早く概要を知り、加えて網羅的な(抜けの少ない)文献リストを入手するのに利用できるのだ。
     同様の理由から、メジャーなトピックでも、最近の博士論文であれば、研究概要としても、文献リストとしても、他よりも新鮮なものが入手できる可能性が大である。


    (国内の博士論文を探すためのサイト)


    博士論文書誌データベース(国立情報学研究所)

    日本国内の国公私立大学等で授与された博士号の学位論文について,標題,著者名,学位の種類等を収録したデータベース。博士課程を持つ大学等のほとんどを網羅しており、博士論文(学位論文)を包括的に検索することができる。


    国立国会図書館デジタルコレクションー博士論文
    国立国会図書館がデジタル化した博士論文。1991~2000年度に送付を受けた論文、約14万点を収録し、全文を読むことができる。


     博士論文は、博士号を出した各大学のリポジトリに本文ないし要旨と審査報告などが収録されていることが多い。
     大学のリポジトリ一覧はhttp://www.nii.ac.jp/irp/list/を参照。
     またJAIRO(ジャイロ、Japanese Institutional Repositories Online 日本国内の学術機関リポジトリに蓄積された学術情報(学術雑誌論文、学位論文、研究紀要、研究報告書等)を横断的に検索できる検索サイト)を通じて全文を見ることができるものも有る。


     なお、博士論文は、学位授与後、出版されることも多い。Webcat Plus Minusなどで、その著者の博士論文が元になった著作がないか確認しよう。
     出版された本の方が、編集者の手を経て、読みやすくなっていることがあるし、索引なども追加されていることも多い(索引の有る無しは、文献の使いやすさがまるで違う;このことは、どれだけ強調しても強調しすぎることはないが、別に書くことにしよう)。


     もし、探しているテーマ、トピックに関する博士論文が日本で見つからなかったら、それこそしめたものだ。
     世界中の博士論文から探し出せ。

     書き忘れたが、博士論文なんて、本人と審査する者、つまり世界中で数名しか読んでいない。
     海外の博士論文なんて、そいつが有名にでもならない限り、日本人はまず読んでない。
     そういう手つかずの文献が、毎年おびただしい数、生産されているのだ。
     再利用できるところは再利用しようではないか。



    (海外の博士論文を探すためのサイト)

    ・国立国会図書館は1950年代後半から、主に科学技術分野の欧米博士論文を収集している。
    海外博士論文(北米の大学の博士論文)
    海外博士論文(MIT、Caltech)
    海外博士論文(ヨーロッパ博士論文)
    海外博士論文(その他)
    が参考になる。




    Dissertation Express http://www.umi.com/products_umi/dissertations/disexpress.shtml
       [書誌データのみ] 英語論文。米国。1861年から検索可能。抄録はなし。

    EthosS(Electronic Theses Online Service) http://ethos.bl.uk
     全英電子学位論文プロジェクト。イギリス。30万件の書誌情報の他に、一部全文ダウンロードあり。


    Index to Theses http://www.theses.com/
       [書誌データのみ] 英語論文。英国。有料。1716年から検索可能。

    Cybertesis.net http://www.cybertesis.net/index-en.html
       [本文あり] 英語論文。世界各地の全文提供サイトの横断検索。

    CRL Dissertations  http://catalog.crl.edu/search~S1
     研究図書館センター所蔵の北米以外の100ヶ国の学位論文約80万件を検索可能。

    Open Thesis http://www.openthesis.org/
     研究者個人や大学から収集した学位論文をウェブ上でアクセス、共有可能にするサービス。全文提供あり

    Scientific Commons http://www.scientificcomons.org/
       [本文あり] 英語論文。世界50ヶ国の学位論文を含む。

    OAIster http://www.oclc.org/
     世界1,100機関の研究成果約2,300万件を検索可能。学位論文も全文が提供されている場合がある。





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