夢は詳細に描いた方が実現しやすいらしい。

     理由はいくつか考えられる。

     詳細に描くためには、実現したいものに関する情報が必要なこと。
     その情報は、実現に向けての現実的なプランニングにも役立つ可能性が高いこと。
      というのも、その情報は、実現に向けての複数のルートを考え出すのに役立つ可能性が高い。
      さらに、その情報は、非現実的なルートを捨て、現実的なルートを選択するにも役立つ可能性が高い。

     上記に加えて、夢を詳細に描くために必要な情報とともに、それを得る情報収集のプロセス自体が、人を目標実現に強く動機付ける効果を持っていること。
     
     他にもあるだろうが、これくらい並べば、何をすればいいかは明らかだ。

     詳細な夢が実現する可能性が高いなら、実現したい夢の詳細化を図ればいい。
     つまりこういうことだ。

     具体性のない/低い夢や目標の、実現可能性を高めるためには、必要な情報収集をおこなって、具体化/詳細化を図るべし。

     あるいは、こうも言い換えられる。

     あなたの夢に欠けているのは、想像力ではなく、調査だ。


     さて、ここまでは至極当たり前の話である。

     そこで追加提案がある。
     
     夢を描くにあたって、どうせ調査するなら、なにもレベル0の「地べた」で描かなくてもいい。

     Google Scholarのトップページの標語でもある「巨人の肩の上に立つ」(Standing on the shoulders of giants)は、「学問は多くの研究の蓄積の上に成り立つ」といったほどの意味で用いられる。
     しかし先人の蓄積の上に成り立っているのは、何も学問ばかりではない。
     およそ人の社会に存在するほとんどすべてが、そうだ。

     そして、「先人の蓄積の上に成り立っていること」を痛感するひとつが、いくつかの手がかりを頼りに、知りたいことをたぐり寄せ、あるいは自ら分け入っていく調べもの=情報収集という行為である。

     実際のところ、ゼロから調査を始めるのは、不可能に近いほど困難だ。
     ふつう調査は、「誰かが同じことを、せめて似ていることを、以前に調べたことが無いだろうか?」と考え、「先人の調査(という蓄積)」を見つけようとするところから始まる。
     そして、手を付ける前には「誰もこんなこと調べてないだろう」と思うとも、大抵の場合、その予想は幸運にも裏切られる。
     同じものでなくても、何かしらヒントや手がかりになる調査が既に行われているのだ。
     未踏峰の頂上へ向かうルートの最中、先人が残して行った酸素ボンベを見つけたがごとき嬉しさである。
     もちろん、たった一人の先人の調査で、調査が終結することはない。目標にたどり着くには、まだまだ多くの努力と、先人の助けが必要であるのだが。


     夢を詳細に描くことが目標の我々は、より直接的なアプローチをとることもできる。
     同じでなくても、似たような夢を、実現した先人を探し出すことだ。
     むしろ異なる分野で、ことなる時代の異なる状況で、異なる夢を実現した先人から学ぶことの方が多いかもしれない。

     夢や目標に直接関係する情報収集と平行して、そうした先人の生涯や行動や言葉から学ぶことは、有益だ。
     なにより偉人は探しやすい。

     最もその存在を確認するのは確かに簡単だが、その肩によじのぼるのは必ずしも容易くないかもしれない。

     先人の肩に「よじのぼる」、最もディープなアプローチは、彼が残したすべてを集めて味わうことだ。

     いくらか現実的にするなら、全集を読破し、伝記・評伝の類いも読み尽くすこと。

     思った以上の時間と胆力が必要な作業だが、これは知的トレーニングの中では最上の部類に入る。結局のところ、シャロー・リーディング(浅い読書)でしかない、ほとんどすべての読書術の対極に位置するものだ。

     そこまでの時間が投資できない人も、自分が選んだ先人の年譜を自分で作成するといい。
     やり方は以前にこのブログでも書いたことがある

     先人の肩をよじのぼることで、そこから、先人とほとんど同じ目の高さから、目標や夢を描くために集めて来た、情報たちを再吟味すること。
     それまで重要に思えたものが色あせ、些末なものに思えたものが逆に輝きだしたら、あなたの調査は、もう一段上の段階に入ったことになる。



    なお「巨人の肩の上に」の出典については、
    「DELPHICAの散歩道」の「Cahier de Sibylla おもしろ雑記帳」というコーナーに「巨人の肩の上に」というページがあり(URLは以下)、
    http://homepage2.nifty.com/delphica/cahier/shoulder.html
    詳しく資料を紹介されていて、一押しです。

    On the Shoulders of Giants: A Shandean Postscript : The Post-Italianate EditionOn the Shoulders of Giants: A Shandean Postscript : The Post-Italianate Edition
    (1993/03)
    Robert K. Merton

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