「室内で本を読むとき、電灯の光があまり暗いと、どの本を読んでもはっきりわからないが、その光に相当するものを智力と呼ぶ。この智力の光が最近の学生は暗いように思う。………いったいどのくらいか計ってみた。ノーマルな智力をもっておればただちにできるはずのことに要する時間を私たちの世代といまの学生でくらべ、その逆数をとってみたわけである。
     まず私たちの「ただちに」を計るため、ストップウオッチをかまえて友人の中谷宇吉郎さんと連句を試みた。宇吉郎さんが「初秋や桶に生けたる残り花」と詠み、これに私が「西日こぼるる取り水の音」とつけるのに十秒、また「秋の海雲なき空に続きけり」と詠み「足跡もなく白砂の朝」とつけるのに十秒、これで「ただちに」とは十秒だとわかった。そこで学生たちに、ただちにわかるはずの問題をやらせたところ、実に三日もかかる。何度やり直しても同じことだった。驚くなかれ、二万七千分の一の智力である。」
    39-40頁

     岡潔は、多変数複素関数論を独力で開拓し、文化勲章ももらった数学者である。
     国立奈良女子大学の教授をしていたこともある。

     話はつづく。

     追測定の結果を、岡潔は、東海林さだおのインタビューでこう話している。


    「最近の若者の無知ぶりはひどい。わたしはせんだってある女子学生の知力をはかってみましたところ、わたしの二万七千分の一しかありませんでした。そして最近になって、もう一度はかってみましたら、更にそのときの三十分の一になっていました。これはじつに、合計百万分の一ということです。」


     話はつづく。


     岡潔先生(おもわず敬称だ)はこんなことも言っている。
    「マッカーサーは日本に来て、日本人の精神年齢は十二歳だと言いましたが、実にとんでもない話で、私は十四歳になっていると思うのです。」


    春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)春宵十話 随筆集/数学者が綴る人生1 (光文社文庫)
    (2006/10/12)
    岡 潔

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