1915年、上海商務印書館より刊行された『學生字典』という漢字字典がある。
     辞典でなく字典であるところがミソである。
     熟語を数並べりゃいいと思っているどこかの漢和辞典と違って、漢字の原義に焦点をあて、これを的確に解説することで、コンパクトにしてとても有用なジテンとなった。中国語文(文言(いわゆる漢文)、それに白話)を読む上でとても有用である。
     これについては、電脳瓦崗寨主が私費を投じて電子テキスト化した『學生字典』全文データを公開しておられる。
    http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/xszd/wiki.cgi?FrontPage


     さて、とても有用なので、これには邦訳が出版されている。
     1940年に発行されて以来、これまた未だに愛用されている『支那文を讀む爲の漢字典』がそれである。
     これについては、青蛙亭漢語塾のサイトで、WEB上で引けるようにしたもの「WEB支那漢」が公開されている。

    http://www.seiwatei.net/chinakan/chinakan.cgi
    (口上と解説)http://www.seiwatei.net/chinakan/chinabhp.cgi?super=0
    (原著例言)http://www.seiwatei.net/chinakan/chinabre.htm

     書籍版では部首と画数の2つの引き方しかできないが、web版は日本語音訓、中国語発音、総画、四角号碼などの索引が用意されている。

     漢文にも中国語も区別なくオールマイティに使えるすぐれものだが、「わかったつもり」になっている漢字を引いてみるとよい。
     「なるほど、こういう意味だったのか」と雲が晴れる心地を味わえること、請け合いである。

     中国語に触れる機会がなくても、ちょっと古い文献を読もうとすれば、漢字識字率がある程度ないと、途端に壁にぶち当たる。
     逆に漢字識字率を上げておくと、例えば『古事類苑』や『広文庫』(いずれも明治以前のあらゆる文献からの引用で編まれた一種の百科事典。前者は明治政府のぶちあげた国家事業だが、後者は物集親子の個人事業である。この親子については、マッド・ヒューマニスト列伝でとりあげたいと思う)などが使えて、近代以前の事項についても、一気に探しものがはかどる。
     『古事類苑』は、電子化が少しずつだが進んでいる(たとえば古事類苑全文データベース http://ys.nichibun.ac.jp/kojiruien/)。全文が引けるので、書籍版の索引よりもたくさんの箇所がヒットする。『古事類苑』のポテンシャルが解かれる日は、そう遠くはない。
     その日に備えて、漢字の装備を上げておこう。


    支那文を読む為の漢字典支那文を読む為の漢字典
    (1999/07)
    陸 爾奎方 毅

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