果たして、あなたが読んだ『三国志』はホンモノか?
     ほら、「吉川」なんてハンコが押してない?

    孔明曰愚有一計。並不労牽羊担酒納土献印亦不須親自渡江只須
    遣一介之使扁舟送両箇人到江上。操若得此両人百万之衆皆卸甲
    捲旗而退矣。周[王愈]曰用何二人可退操兵。
    (「演義三国志」)


     これがオリジナルである。岩波文庫でも訳が読める。

     そして同じ箇所が、江戸の戯作者にかかると、こうなってしまうのである。

    孔明「イヤモシ、然様(そん)ならば斯(こう)すると宣(よう)ございますネ、曹操に降参するも否(いや)なり、軍(いくさ)をしては味方が小勢で覚束(おぼつか)ないと思し召すならば、両方を止(やめ)て曹操を引返して仕舞せる手段(てだて)がありやす、今度曹操が此国を攻めようといふ望(のぞみ)の極意は只二人の者が欲(ほしい)から発(おこっ)たのだから、夫(それ)を遣ると直に軍を止て本国へ帰るに相違ないから、早く其為要(ほしがる)二人を曹操の所へお遣り被成(なさる)が能(いい)ぢア御座いませんか」

    周ゆ[王愈]「二人とは何者の事でございやせうネ、何様(どう)も不解事(げせねえこと)」

    (為永春水「いろは文庫」)



     翻訳とは何か、いろいろ考えさせられた(笑)。



    吉田松陰は松下村塾の教材として「いろは文庫」を用いることがあった。

    塾生の高杉晋作も妻に「いろは文庫」を贈っていた。

    トリビア。
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