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    (忙しい人のための要約)

     課題図書のあるレポートには、次の3つを書く

    1.本の概要(何について、どういう方法で、どんなことを主張しているか?)
    2.複数の主要な論点(議論となる、議論すべきポイント)
    3.一つか二つの論点について、自分の考察



     読書感想文について書いてみたが、感想文ではないレポートはどう書けばいいのかという質問があった。
     担当教官によっては、読むべき本を指定して「感想文でもいいから書いて来い」と言う場合があるが、それは一種の学習性無能力に陥っているのであって、何を言っても期待できないだろうから、とにかく形だけでも出してくれお願いだ、と言っているのである。
     もちろん課題図書が指定されたレポートに、読書感想文を書いて出してはいけない。

     しかし「いけない」というだけではあんまりだ。
     そうでなくても「文章の書き方」と称するものは「~してはいけない」ばかりのネガティブリストになることが多い。
     だが、何か書き出さないと、そもそもどんな禁則事項も守りようがない。

     レポートの書き方みたいなものは何度か書いているけれど(末尾にリンクを集めてみた)、今回は何を書けば感想文に堕しないかを簡潔にまとめてみる。


    1.本の概要

     まずはどんな本なのかを簡潔に伝える。
     これができてレポートとして参加資格が得られる。

    (導きとなる問い)
    ・何について論じているのか? → テーマ
    ・どういう着眼/方法で論じているのか? → アプローチ
    ・どういうことを結論として主張しているのか? → クレーム


    2.論点(議論ができる/議論が必要なポイント)

     主張を支える根拠はふつう複数あり、それら根拠もまた別の根拠を持っている(議論の入れ子構造)。

     主張や根拠に対しては、反対意見を含むいろんな主張や根拠付けがあり得る。
     著者はそれらからあるものを選んでいるのだが、「他でもあり得る」ところはすなわち〈議論が可能なポイント〉であり、また他ではなくこれを選んだ理由づけ根拠付けが要求される〈議論が必要なポイント〉でもある。

     〈議論が可能〉かつ〈議論が必要〉なポイント、言わば「論述の曲がり角」(そこで曲がり損ねるとグダグダになり、筋が通らなくなる)を論点と呼ぼう。

     すべての論点を網羅することは分量的にも時間的にも難しい。
     だから軽重をつける。
     類似の論点はまとめ、あまり重要でないものは省いて、しっかり取り上げるものは3~4つくらいにする。

     しっかり取り上げないが、書き落とすと他の部分を説明したり理解したりするのに支障が出る論点があれば、著者の言い分だけを1~2文にまとめておく。

     しっかり取り上げる論点についてはそれぞれ、
    (1)著者の言い分
    (2)その根拠となる理屈
    (3)根拠で証拠として挙げられている事実やデータ(そして出所)
    にまとめて書く。
     結果として要約ができるが、ここまで書けて及第点。

    (導きとなる問い)
    ・何について論じているのか?
    ・結論は何か?
    ・それはどの箇所に、どのように書いてあるか?
    (引用できるように、線を引き、ページ数を書き止めておく。あとで抜書きする)
    ・なぜそうしたこと(結論)が主張できるのか?その根拠は何か?


    3.考察(根拠と証拠付き)

     一つか二つの論点を選んで、それについて自分の考察を書く。

     考察は感想ではない。
     「おもしろい」「つまらない」「わからない」は考察とは言えない。

     すべての論点を木っ端微塵にする必要はない。
     スタンスとしては、反対できる方が書きやすい。

     自分の考察についてもそれぞれ、
    (1)自分の主張
    (2)その根拠となる理屈
    (3)証拠として挙げられている事実やデータ(そして出所)
    をまとめる。

     根拠と証拠つきで自分の考察をつくりあげるためには以下のアプローチが活用できるかもしれない。

    A.著者の主張について、例外を見つけ出す
     著者が書いた時点では見ることができなかった新しい事象やデータ、著者が手をつけていない隣接領域の事象やデータを探す。

    (導きとなる問い)
    ・著者が書いたのは何時か?
    ・著者が検討した事象は何時までのものか?
    ・著者が検討した事象やデータはどの分野であり、検討していない事象やデータはどの分野のものか?
    ・著者が検討していない事象やデータはどこで見つかるか?
      (学術雑誌の論文?一般雑誌の記事?新聞?ネット?)


    B.言い分を比較する
     この場合、課題図書の著者と比較に持ってくるもののどっちが〈勝って〉もいい。

     比較することで、著者の主張や論拠が明確になったり、気付かなかったところに気付いたりメリットもある。
     こういう気付きがあると、おもしろいレポートが書きやすくなる。

    (1)著者の論点と、同じテーマを扱う他の著者の論点を比較する
     これだともう一冊以上読まなきゃならないので時間や余裕がない場合は、事典・教科書から同じテーマの通説を拾い出して比較する
    (2)自分や他の誰かの〈思い込み〉(いわゆる常識も含む)と比較する。読んだ本の内容を説明して「そんなことないだろ」と言いそうな人を思い浮かべる。

    (導きとなる問い)
    ・著者が扱うテーマについて、他の研究にはどんなものがあるか?
    ・著者が扱うテーマについて、教科書・事典には誰のどんな説が紹介されているか?
    ・著者の主張や展開する論点について、納得いかないところを持っている人に誰がいるか?
       (自分や自分の身近な人から著書でしか知らない人物まで含む)
    ・著者の主張や展開する論点について、納得いかないところを持っている人が持っている意見(異なる見解)はどのようなものか?
    ・著者の主張や展開する論点については、〈通説〉や〈常識〉や〈他の人の考え〉と比較して、どこが同じであり、どこが違っているか?





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