------逃げだすほどの大問題なんてありません(チャールズ・M・シュルツ)


     問題解決を学ぶといい。
     これまで不快や不安の種だったものが、自分の知性と勇気を鍛える機会となるから。
     不都合や理不尽を、問題として捉えなおさないならば、それを運命として受け入れるか抗うかしかない。

     人間はそうとは意識・自覚しなくても、日々いろんな問題解決に取り組んでいる。
     人の思考の何割かは何らかの問題解決に費やされるといってもいいくらいだ。
     
     では、なぜわざわざ〈問題解決〉などと取り上げて、いろいろ言うのか。
     それは〈問題解決〉として意識した方が、そのプロセスを振り返ったり、修正したりすることがやりやすくなるからである。
     〈問題解決〉として意識することで、その質を向上させることができる。

     問題解決者は楽観主義者ではない。
     どんなことも自分の力で解決可能であるとは思っていない。
     解くことのできる問題は、ほんのごく一部であることを知っている。


    -------問題をとくことは純粋に《知的》な事項であると考えるのは間違いであろう。それには決意と情緒とが重要な役割を演ずるものである。なま半かな決意と何かしようとするぼんやりとした考えでも、教室でのありきたりな問題をやっていくには事足りるかもしれない。しかし真面目な科学の問題をとくためには、長年にわたる苦闘と苦い失敗とを切り抜けなければならない。(ジョージ・ポリア)


     問題解決を学ぶことは意志の力を学ぶことである。
     意志の力を信仰することではない。


     問題解決の手順については、いろんなものが提案されているが、相違点より共通点のほうが多い。
     手順を一部追加したり、ある段階を他の段階と併せて扱ったり、あとは手順のどこかを強調するかぐらいしか違いはない。
     つまり、どれかひとつを知っておけば、大抵は間に合う。必要なら手順を修正すればいい。
     あとは手順をどうこういうより、問題に集中した方がいい。

     問題解決の手順は大抵5プラスマイナス2くらいのステップにまとめられている。
     各ステップを思い出せるように、それぞれの段階の頭文字をとって記憶しやすいようにしてあるものが多い。
     今回はブランスフォードとステインによるIDEALをベースに、問題解決のプロセスを進むための〈導きの言葉〉を提示する。



    I:Identify problems 問題と機会をとらえる

    ------問題を突きとめ理解できたら,半分解決したも同然である。(ブロア・R・カールソン)

    「不都合は起こっているか?」(「この先、不都合が起こりうるか?」)
    「何が生じているのか?」(「何が変化したのか?」)
    「それは問題か?」(「それは問題と見なすことはできるか?」「それは問題と見なしてよいか?」)
    「問題として取り上げないとどうなるか?」



    D:Define problems 問題を定義する

    (目標の定義)
    「どのような状態になればよいか?」
    (現状の記述)
    「今、それはどのような状態なのか?」

    (問題の定式化)
    「(解くべき問題は)現状が目標の状態になるのには、何をどうすればよいか?」
    (その評価)
    このように定式化した問題は・・・
    「解くことができるか?」
    「解く意味はあるか?」

    (代替と選択)
    (解けない、解く意味がない場合)
    「これ以外にどのような定式化があるか?」
    (たくさんの〈問題の定義〉ができたら)
    「どの定式化なら最も解きやすいか?」
    「解く意味が最大になる定式化はどれか?」


    E:Explore possible strategies 解決策を探る

    ------問題の分析によって解決案が一つしか見つからなければ、その解決案は、先入観に理屈をつけたにすぎないものと疑うべきである。(ピーター・ドラッカー)

    (現状を変化させよ)
    「何が足りないか?」「何を追加すればよいか?」
    「何が余計か?」「何を取り除けばよいか?」

    (目標が達せられたとせよ〈逆向きに考えよ〉)


    -----なされるべきことは、なされたと仮定せよ。(パップス)


    「目標が達成したとき、今と何が違っているか?」
    「中間目標を設けよ」
    「中間目標が達成したとき、今と何が違っているか?」
    「さらに中間目標を設けよ(すぐに到達できるところまで繰り返せ)」

    (解決案を変化させよ)
    「その解決案と同じ効果がある別の解決案はないか?」
    「その解決策で達成できる別の目標は何か?」
    「二つ以上の解決策を混ぜ合わせるとどうなるか?」

    (視点を変化させよ)
    「自分が関係者の誰かならば……現状は?目標は?問題?解決策は? それらは自分にとってはどうか?」
    「あなたが全知全能ならば、全知ならば、全能ならば、1000年生きるなら、妖怪なら、悪魔なら、海なら……現状は?目標は?問題?解決策は? それらは自分にとってはどうか?」
    「他人にとっての解決策は、どこを改造すれば自分にとって有効な解決策になるか?」

    「現状を良くも悪くもさせないためにはどうすればいいか?」
    「事態をさらに悪化させるにはどうすればいいか?」
    「最悪の結果をもたらすには何が足りないか?」

    (あらゆる可能性、選択肢、その組合せを試せ)
    「いろんなやり方をやってみても有望な解決策が出てこない場合は、考え付く限りの可能性、選択し、組合せをひとつひとつすべて試せ」
    「試しているうちに、問題をいろんな角度から見直すことになるので、今まで出なかったアイデアが出ることもある」

    (問題定義を変更せよ)
    「有望な解決策がどうしても出てこない場合は、問題の定義にまで戻ってやりなおせ」
    (※すでに解決案についてアタマを使ったあとは、以前よりずっと深く問題や現状や目標について理解している。同じことをやるようでも、結果は違ってくる)

    ------我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない。(アインシュタイン)


    (インスピレーションを信じよ)
    ------推論は絶対確実なものではない。それを確信してしまうことは間違いである。しかし不確かだからと無視することはさらにゆるしがたい 。信じ込むならば失望させられるかもしれない。だが、捨て去ってしまっては、どんな発見も進歩もない。
     疑わしきは信ぜよ。だが目を離すな、注意を怠るな。
     いつも霊感に従え。しかし疑うことをわすれるな。 (ジョージ・ポリア)




    A:Anticipate outcomes and Act 結果を期待し実行する

    「解決策をスモール・ステップに分割せよ」
    「スモール・ステップのひとつずつについて、かかる時間と難しさを予測せよ」
    「実際にかかった時間と難しさ、気付いた点、思いついたアイデアを記録せよ」
    「パイロット・モデルから実施せよ」
    「1つで試したら、複数でやってみよ」



    L:Look back and Learn 振り返り、そこから学ぶ

    「IからAまでのプロセス、Lも含むプロセスを見直せ」「記録を読み返せ」
    「結果は満足できるものか?」
    「うまく解くことができたか?」
    「はやく解くことができたか?」

    「もう一度、解いてみよ」
    「どれだけ時間は短くなったか?」
    「よりよい別の解決策は見つかったか?」
    「今回の問題解決が役に立ちそうな/参考になりそうな問題や状況にどんなものがあるか?」




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