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    方法0 ノートを用意する

     紙でも、パソコン上のファイルでもいいが、少々ムリ目の本を読むときはノートを用意する。
     読んだ内容をまとめることもあるが、それよりも自分の読書行動の記録をつけて《現在地点》を見失わないようにするのと、自分のやり方を記録してフィードバックするのが主目的である。
     自分の読書をメタ視点で捉えて、そのスキルを上げていくのである。
     以下で触れる方法を試してみてどうか、どんなファインチューンや工夫が必要か等、気づいたことをなんでも書き込んでいく。
     あとで読むと、大変面白くて役に立つノートになっている。
      
     大抵の場合、何を読むかよりも、どう読むかのほうがずっと重要だ。
     結局、何を読むか(読めるか)は、どう読むかに依存することになるのだから当然である。



    方法1 読む前に概要を知る

     世の中には、予断を抱かず古典にぶち当たれ、という人がいる。
     しかし人は誰しも、何事かを知っている。予断を抱かずにはおれないのだ。
     ならば、予断を都合の良いようにデザインすべきである。

     文脈(コンテクスト)が分からないと文章は分かるものではない。
     難しい本をすらすら読んでいる(かに見える)人は、それまでに読んだ(たくさんの)本の知識を駆使して読んでいるのである。
     
     文脈(コンテクスト)についての知識がサポートすれば、推測が効く部分が増え、たとえ推測がうまくいかない部分、理解できない部分があっても挫折する可能性を減らすことができる。
     
     さて概説を知るのに、いきなり分厚い研究書を開いては、元の木阿弥だ。
     その研究書を理解するのに、また一仕事になってしまう。
     胃を切った人の食事のように、インプットする量と内容を制限すること。
     一口で食べられるだけに、情報の大きさを制限すること。
     そして知識の胃袋をゆっくりと大きくしていくこと。

     では、まず何を見るか。
     先生や先輩のおすすめの本はチェックしておく。
     しかし、まずは事典を引く。これが正解。
     理由は、事典の1項目の記述は(よくある小項目主義の事典の場合)せいぜい数百字しかないから。これならすぐに読める。
     スロースタートで行こう。はずみがつけば、後でいくらでも取り返せる。
     
     事典で引いた項目はコピーして探索ノートに貼り付けるか、探索用のファイルにコピペする。
     事典なんかには《常識》みたいなこと、すでに知っていることしか載っていないから読むだけ無駄だ、という意見もあるだろう。
     常識みたいなことしか載ってないというのは、そのとおり。
     事典を読む意義のひとつは、《常識》に遺漏がないか確認することにある。
     そういう常識がないと、内容を理解するのはもちろん、参考になる文献を見つけることにも難儀する。つまりあなたは背景知識的に孤立無援となる。
     さらに我々が知りたいのは、これから読もうとする難解書の文脈(コンテクスト)、すなわち、いつどこで誰によってその本は書かれ、何を論じ、その後どんな風に受容されたか、といった情報である。
     これはその本を手にするのなら《常識》として知っておかなければならない事項だ。
     《常識》だから、誰もわざわざあなたにそうしたことを教えてくれない。
     だから自分で入手しておかなければならない。

     あるいは逆に、事典の記事ですら理解できない場合はどうすればいいか?
     この時は、別のもっとやさしい事典を探すのがよい。あるいは最もやさしい入門書のたぐいを読む。レファレンス・カウンターに相談しよう。

     次に概説書。
     最近は1項目を見開き2ページだとか、コンパクトにまとめてあるものを増えた。
     こういうタイプなら、先ほどの事典のような使い方がかんたんにできる。
     加えて、次に何を読めばいいかについても、参考文献の形であげていることが多い。注釈にも、次に進むべき文献が紹介されているかもしれない。

     ずいぶんとこの節は長くなっているが、最後に述べる以下の作業が重要である。
     概要は読むだけは駄目だ。
     マインドマップなり図など書いてみて、アウトプットしておくこと。
     自分の理解を試すだけでなく、頭の知識が組織化され、これから読書によって入ってくる知識が接岸できるところを用意してくれる。
     できれば自分がつくった図やマップだけを見て、誰かに(もしくは自分に)説明しておくとよい。

     これからターゲットの本を読んでいくときも、今作った要約を改訂するつもりで読む。
     このマップは読み進める中、現在地点を記録し確認するのにも役立つ。


    方法2 コア(核)だけを読む

     難しさの原因のひとつは、その本を読んで処理しなければならない情報が自分が一度に扱える域を越えてしまうことだ。
     これへの対策は一度に扱う情報の量を減らすことである。

     最初は細部にこだわらず、大まかに理解することを大方針にしよう。
     名刺の裏に書ける程度のことを捕まえられたら、最初は成功だと思っていい。
     必要なら、繰り返し読む中で、次第に詳細な内容を拾い上げていけばよい。ここでも扱う量を急に増やさないこと。
     
     具体的な作業としては、ターゲットの本の目次を読み込み、概説として入手した知識を頼りに、どこに何が書いてある(と予測できるか)を書き出す。
     こうして先につくった図や目次を増補改訂する。
     そして概要で知った、この本のキモ(もっとも重要なところ、とされている部分)をページをめくって探し出す。そして読む。
     これができたら、その次に重要な部分を選んで、同様にそれが書かれている箇所を探して読む。
     
     つまり、重要なところ(コア(核))だけをまずは一本釣り的に、引っ張り出して読む。
     
     これだけ済ませておけば、後は挫折しても、この本から得られる最重要部分は抽出済なのだから、落ち込まなくていい。
     そんなに時間を費やす価値はない、と判断がついた時も同様だ。心が痛まなくて済む。
     
     書物は、最初から1ぺーじずつ必ず読まなくてはならない訳ではい。
     物語以外の書物は、むしろそんな読み方をしてはいけない、と言ってもいい。
     
     コア(核)読みは、書物の抜き取り検査だ。下見読みの意味もある。
     読むに足る書物かどうかを検査するだけでなく、今の自分がその書物にふさわしいかを知る検査でもある。
     どれだけつまみ食いなり下見読みをしているかどうかが、その後の読みの成否を左右する。
     下見読みを繰り返す中で、自分の構えも、その書物に合わせて変わっていく。
     その本を読む準備、体勢が次第に整っていく。
     
     
     
    方法3 わからなくても先に進む

     完璧な人間がいないように、完全な書物は存在しない。
     さらに言えば完全な読者もまたいない。
     
     分からない部分はどうしても出てくる。
     あなたがどれほどの達意の読み手であろうと、手にしているのがどれだけ易しく書かれた書物であっても。
     
     このような場合、独学者ライプニッツの方法が役に立つ。
     何のことはない。飛ばして先に進むのだ。
     ライプニッツはこの方法でリウィウス(『ローマ建国史』の著者)を読み通し、何度も通して読み、ラテン語をマスターした。
     このやり方を身につけて、数学から古銭学まで広がるおびただしい知識を習得した。
     

     飛ばすときは、概要を手に入れてまとめた自作のマップに印をつけておく。
     そしてマップ上で、自分がどこにいるか、どっちへ進もうとしているのか、いまどんなことが議論されていて、例えばいくつ目の根拠が示されているのかなどを、確認する。
     それから議論のかたまりの、どこまで飛ばして進むかを決めると、飛ばすことで余計に迷う危険がいくらか小さくなる。



    方法4 わからない部分を囲い込み、絞り込む

     分かるところと分からないところをチェックし、分かる部分を拡大することを考えよう。
     分からない部分のコアになる部分を見つけ出し、それが小さくなるよう周囲から追い込もう。
     100%わかる、0%分からないの二分法を止め、分からない濃淡をつけよう。濃くなる先にコアがある。
     分からない部分が分解できないか試してみる。分解できた部分のそれぞれの分からなさにも濃淡をつける。まったく分からないのはどれか? 少しはわかりそうな部分はどこか?
     
     何が分からないかをハッキリさせる作業は、物事を理解するためにすごぶる役に立つ。

     わからない部分をできるだけ小さくする作業は、誰かに質問する場合の前処理としても重要だ。
     質問がヘタな人は、自分でも自覚しているが、何を聞けばいいのかが分からない。
     あまりに自覚しているので、質問を差し控えてしまい、理解できる機会を永遠に喪失しかねない。
     
     繰り返しになるが、不明な点を解剖し、不明な程度を点数化して、五里霧中の霧の濃さを確認するkとは、理解に役立ち、理解出来ないことを扱うこと(質問することはその一部である)にも有用である。
     
     
     
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