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     書物が出版されること、(詳しく言うと)その準備ができることを、
    「殺青(さっせい)ここに成る」
    などと言う。
     
     殺青とは、竹の表皮を火であぶって処理すること。
     切ってきた青い竹には脂(あぶら)があるため、文字が書きにくい。
     火であぶることでその脂をとり、文字を書きやすくするのだが、この処理をすることで虫の害を避けることもできる。

    「殺青者、以火炙簡令汗、取其青易書、復不蠧、謂之殺青、亦謂汗簡。」(劉向『別録』)。
    (殺青は火をもって簡を炙(あぶ)り汗せしめ、其の青を取りて書き易くす。また蠧(むし)まばれず。これを殺青と謂ひ、また汗簡と謂ふ。)


     現代の中国語でも、映画のクランク・アップを「殺青(shāqīng シャーチン)」と言う。
     

     『説文解字』(紀元100年/永元12に成立)に「竹帛に著す、これを書という」とある。
     火で炙った竹は〈甲骨〉を継ぐ千年の長きにわたって使われた〈文字媒体〉だった。
     
     その痕跡は、我々が書物関連の事項を表すのに使う漢字に残っている。
     
     細長くした薄片の一片を「簡」と呼び、数片をからげたものを「策」という。
     「篇」もまた、文字を記す平らな竹簡のこと。
     これを糸でからげると「編」になる。
     「冊」は、ひろげた簡策を見たまま描写した文字。
     これらは今も続く「書かれたもの」を数える単位となった。
     「典」はひろげた簡策を机の上に置いた状態。
     「籍」は簡策を重ねた保存したもの。
     「韋編三絶(いへんさんぜつ)」は、繰り返しての繙読により、簡策を綴じた紐が三度切れた故事から、一冊の書籍を繰り返し繰り返し読むこと。

    「孔子晩而喜易 序彖繋象説卦文言 讀易韋編三絶 曰假我數年若是我于易則彬彬矣 」(『史記』孔子世家)
     孔子、晩にして易を喜み、彖・繋・象・説卦・文言を序ぶ。易を読んで韋編三たび絶ゆ。曰く、「我に数年を仮せば、是の若く、我易より則ち彬彬たり。」
     孔子は晩年易を好み、彖(たん)伝・繋辞(けいじ)伝・象(しょう)伝・説卦(せつか)伝・文言(ぶんげん)伝を叙述し、周易を読んでは、とじひもが三度も切れるほどであった。「私に数年もらえないものか、易を学び、調和のとれた者になれるのに」と言った。



     中国で紙が発明されたのは紀元前200年頃、また中国後漢代の宦官であった蔡倫が製紙法を改良し、文字の書写に紙を用いることが可能になったのが紀元105年頃だと言われる。
     紀元前1300年頃からそれまでの間、文字は竹や木を細長くした薄片をなめし革や麻糸でつづった簡策に書かれてきた。
     
     竹簡・木簡が出現する前には、中国では木や石に文字を彫って粘土への捺印が行われた。
     周(前1122ころ~前256)時代、印は竹簡などの割り符用にも使われた。
     秦、漢(前202~後220)時代、玉(ぎょく)、金、銀、銅、象牙、サイの角が印材になった。
     印章は凸版印刷の原理を導き出した素材である。
     
     印章発生以前に、殷(いん)(?~前1122ころ)時代に使われたのが、亀甲(きっこう)、牛骨に文字、記号を刻印した甲骨文字である。



     甲骨→竹簡→紙→電子

    ということで、中国では「電子(紙)書」が第4世代の文字媒体とされる。

     中国の「数字(デジタル)出版」の総生産額は2009年に799億4000万元に達し、前年比50.6%増を記録。史上初めて紙媒体のそれを抜いた。
     そんなことを受けてか、同年10月の『第一財経週刊』(中国の人気ビジネス週刊誌)の表紙を、冒頭に掲げた古びた書物に白い花が手向けられる写真が飾った。
     
     1041-2018の1041年の方は、北宋時代の人、畢昇(ひっしょう)が初めて膠泥(こうでい)活字を用いて活字を並べた組版による印刷(活版印刷)を行った年である(ソースは『中国の科学と文明』の著者ジョゼフ・ニーダムが一押しの『夢渓筆談』)。
     グーテンベルクのグーの音も出ない。
      

    「慶暦年間(1041~1048)、民間人の畢昇がさらに活字による印刷をはじめた。その方法は、膠泥を使って字を刻み、銅銭の縁のように薄くし、一字ごとに一活字として、火で堅く焼いておく。
     まず、鉄板一枚を置き、その上を松脂、臘、紙の灰をまぜあわせておおう。印刷しようとすれば、鉄の範を鉄板の上に置き、それから〔範の中に〕活字を一面に敷きつめる。鉄範いっぱいを一板とし、そのまま火であぶる。薬(松脂や灰)がとけはじめると、平らな板でその表面をおさえれば、各字は砥石のように平らになる。極く僅かな印刷の場合には、簡単で便利というわけにはいかぬが、何百何千と刷るとなると、驚くほど迅速にできる。
     いつも二枚の鉄板を用意しておき、一板で印刷している間に、次の一板には字がならべられる。先の板の印刷が終るとすぐに次の板がでてくる。かわるがわるこのようにしてやれば、瞬く間に刷りあげることができる。
     一字ごとに数個の活字があり、「之」や「也」などのような字は、各々二十数箇あって、一板の中での重複使用にそなえる。使わない時は、紙の符箋をつけ、韻ごとにひとまとめにして、木のケースに収納しておく。普段用意していない珍しい字は、必要に応じて刻字し、草の火で焼くとすぐに作ることができる。
     木で活字を作らぬわけは、木目に疎密があること、水をふくむと高低が平らかにならず、また薬でねばってしまってとり出すことができなくなるためである。土で焼いたものの方が、使い終ればまた暖めて薬をとかし、手で払いのけると簡単におち、少しもふくらんだり汚れたりしない点すぐれている」
    (沈括『夢渓筆談』東洋文庫(平凡社))

     

     では1041-2018の2018年の方のソースは何なのか?
     
    「根据国出版业杂志《书业报道》9月份对840位来自世界各地的出版人进行的一项调查,80%的受访者认为数字化带来的是机会而不是危机。调查显示, 50%以上的人认为,到2018年数字化出版将超越传统的图书。」
    (ドイツの出版業界誌《书业报道》によると、世界の出版関係者840人を対象とした調査の結果、80%が回答し、うち50%以上の人が2018年には、電子出版物の売り上げが紙の書籍を上回ると考えていることが分かった)。


     この調査が何なのか探してみると、2009年に開催されたフランクフルト書籍見本市の開会前に行われたドイツの出版業界誌buchreport誌(http://www.buchreport.de/)のアンケート調査のことらしい。 
     なお、回答者の構成は、ヨーロッパが74%が、アメリカが11%といったものだったらしい。


    ○Umfrage von Buchmesse und buchreport

    Aufbruch zu neuen Geschäftsmodellen

    ■2018: Digitales überholt Print

    Die Zeit drängt. Noch bestreiten digitale Produkte in der Regel nur einen kleinen Teil des Umsatzes: Rund 60 Prozent der Befragten schätzen, dass sie 2009 zum Teil deutlich weniger als 10 Prozent ihrer Erlöse aus digitaler Quelle speisen werden. Dies wird sich nach Meinung der Befragten jedoch in den nächsten zwei Jahren ändern: Für 2011 rechnen 41 Prozent der Befragten mit einem Umsatz von bis zu 10 Prozent, 58 Prozent sehen einen deutlich höheren Anteil digitaler Produkte am Gesamtumsatz voraus. Der Anteil derer, die davon ausgehen, in zwei Jahren ihren Umsatz zu 25 bis 100 Prozent mit digitalen Produkten zu machen, steigt um 68 Prozent gegenüber 2009.
    Die Vorstellung, dass digitale Inhalte mehr Umsatz erwirtschaften als das traditionelle Buchgeschäft, wird also schrittweise konkreter. Gut 50 Prozent der Branchenfachleute sehen jetzt das Jahr 2018 als Wendemarke: Vor einem Jahr hatten bei einer vergleichbaren Umfrage 40 Prozent eine „Wachablösung“ zu diesem Datum gesehen. 27 Prozent waren 2008 der Meinung, dass digital niemals print schlagen wird – heute sind es nur noch 22 Prozent.
    http://www.buchreport.de/nachrichten/verlage/verlage_nachricht/datum/2009/09/28/aufbruch-zu-neuen-geschaeftsmodellen.htm




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