上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
     文のレベルで、日本語を明確化する工夫について取り上げた著作には、本多勝一(1982)『日本語の作文技術 (朝日文庫)』(朝日文庫)があるが、酒井聡樹(2007)『これからレポート・卒論を書く若者のために』(共立出版)が、さらなる改良に取り組んでいる。
     この記事は、両著作についての私的メモの域を出ない。

     なお『これからレポート・卒論を書く若者のために』は、井上真琴『図書館に訊け!』(ちくま新書)とともに、大学新入生のマストアイテム。入学する前に読んでおくと、まるでちがった4年間を過ごせるだろう。
     

    これからレポート・卒論を書く若者のためにこれからレポート・卒論を書く若者のために
    (2007/05/09)
    酒井 聡樹

    商品詳細を見る


    図書館に訊け! (ちくま新書)図書館に訊け! (ちくま新書)
    (2004/08/06)
    井上 真琴

    商品詳細を見る


     

     以下では、まず日本語の文がわかりにくくなる4大原因を示し、次に4大原因のそれぞれに対応した4つの最適化ルールを提示する。最後に、それぞれのルールについて適用例を挙げて、ルールの活用法を説明する。




    文が分かりにくくなる4大原因

    1.一つの文に多くの情報が詰め込まれている
    2.情報を与える順番がおかしい
    3.どの語がどの語を修飾しているか不明確である
    3-1.ある語が修飾している相手の語を見つけにくい
    3-2.ひとつの語が複数の語を修飾しているようにみえる
    4.言葉のまとまりが捕らえにくい



    分かりやすくする4つの最適化ルール

    1.一つの文が伝える情報量を減らす
    (そのために)
    (1)不必要な情報を削る
    (2)文章を二つ以上に分割する
    2.文章の主題となる部分を前に出す
    3.語と語の修飾関係を明確にする
    (そのために)
    (1)語順を変える
    (1-a)長い修飾語は前に、短い修飾語は後に
    (1-b)意図せぬ修飾関係が生まれないように配列する
    (2)読点をうって区切る
    (2-a)短い修飾語を先にする場合は、その直後に読点をうつ
    (2-b)長い修飾語の後に、長めの表現が続くときは、長めの表現の直後に読点をうつ
    (2-c)修飾関係を切りたいときにも、読点をうつ
    4.漢字とかなを組み合わせて、漢字やかなの連続を避ける


    ※4つの最適化ルールの使い方(メタ・ルール)

    「わかりやすくする4つのルール」は、より上にあるルールを優先して適用する。
     まず文に含まれる情報を減らし(1.)、
     それでも分かりにくければ情報を与える順番を変え(2.)、
     それでも分かりにくければ修飾関係が明確にする処置を行い(3.)、
     それでも分かりにくければ、言葉のまとまりを修正する(4.)。
     


    最適化ルールの適用例

    (問題)1.一つの文に多くの情報が詰め込まれている
    (最適化ルール)1.一つの文が伝える情報量を減らす
    (そのために)
    (1)不必要な情報を削る
    (2)文章を二つ以上に分割する


    (1)不必要な情報を削る
    (修正前)
     経済の安定的成長とテレビの普及などが進んだ大量消費社会に入ると、玩具市場も急速な拡大を見せた。
     
    (修正後)
     大量消費社会に入ると玩具市場は急速な拡大を見せた。
     
     

    (2)文章を二つ以上に分割する

    (修正前)
     多くの玩具は玩具用としてデザインされているが、そうでないものも玩具として利用されるのであり、子供が道具でさえない木切れを手に持って遊べば玩具として機能する。

    (修正後)
     多くの玩具は玩具用としてデザインされたものである。しかし玩具としてデザインされた訳ではないものも、玩具として利用されることがある。たとえば子供が木切れを手に持って遊んでいる場合、木切れは玩具として機能している。




    (問題)2.情報を与える順番がおかしい
    (最適化ルール)2.文章の主題となる部分を前に出す

    (修正前)
     ギブソンは、動物を取り囲んでいる媒質の状態をあらわしている光が、動物の視覚にとって重要だと考えた。
     
    (修正後)
     ギブソンは、動物の視覚にとって重要なのは、動物を取り囲んでいる媒質の状態をあらわしている光だと考えた。
     



    (問題)3.どの語がどの語を修飾しているか不明確である
    (問題)3-1.ある語が修飾している相手の語を見つけにくい
    (問題)3-2.ひとつの語が複数の語を修飾しているようにみえる
    (最適化ルール)3.語と語の修飾関係を明確にする

    (そのために)
    (1)語順を変える
    (1-a)長い修飾語は前に、短い修飾語は後に
    (1-b)意図せぬ修飾関係が生まれないように配列する
    (2)読点をうって区切る
    (2-a)短い修飾語を先にする場合は、その直後に読点をうつ
    (2-b)長い修飾語の後に、長めの表現が続くときは、長めの表現の直後に読点をうつ
    (2-c)修飾関係のまとまりを示すために読点をうつ



    (1-a)長い修飾語は前に、短い修飾語は後に
    (修正前)若い、アメリカで細菌学を学んだ医者は
    (修正後)アメリカで細菌学を学んだ、若い医者は

    (修正前)山田が試合を決める芸術的なシュートを決めた。
    (修正後)試合を決める芸術的なシュートを山田が決めた。



    (1-b)意図せぬ修飾関係が生まれないように配列する
    (修正前)倒れた隣家の庭木 (倒れたのは隣家なのか?庭木なのか?)
    (修正後)隣家の倒れた庭木 (倒れたのは庭木だとわかる)

    ※(修正後)隣家の、倒れた立木 …(2-c)〈修飾関係のまとまりを示すために読点をうつ〉も併用すると、さらにはっきりする。



    (2-a)短い修飾語を先にする場合は、その直後に読点をうつ
    (修正前)若いアメリカで細菌学を学んだ医者は
    (修正後)若い、アメリカで細菌学を学んだ医者は

    (修正前)山田が叫びながら走る田中にパスを送った。(叫んでいるのは、また走っているのは、山田なのか?田中なのか?)
    (修正後)山田が、叫びながら走る田中にパスを送った。(パスを送ったのは山田であり、叫びながら走るのは田中である)

    ※この場合は、(1-a)〈長い修飾語は前に、短い修飾語は後に〉を使った方がいい。より上にあるルールを優先するメタルール。

    (修正後)叫びながら走る田中に、山田がパスを送った。


    (2-b)長い修飾語の後に、長めの表現が続くときは、長めの表現の直後に読点をうつ

    (修正前)代表選出に燃える山田が試合を決める芸術的なシュートを決めた。
    (修正後)代表選出に燃える山田が、試合を決める芸術的なシュートを決めた。



    (2-c)修飾関係のまとまりを示すために読点をうつ
    (修正前)途中出場した田中が叫びながら走る山田に絶妙なパスを送った。
    (修正後)途中出場した田中が、叫びながら走る山田に、絶妙なパスを送った。

    (修正前)倒れた隣家の庭木
    (修正後)倒れた、隣家の庭木(〈隣家の庭木〉がひとかたまり。倒れたは〈隣家〉にはかからず、〈庭木〉にかかることがわかる)
    (修正後)倒れた隣家の、庭木(〈倒れた隣家〉がひとかたまり、倒れたは〈隣家〉にはかかり、〈庭木〉にはかからないことがわかる)




    (問題)4.言葉のまとまりが捕らえにくい
    (最適化ルール)4.漢字とかなを組み合わせて、漢字やかなの連続を避ける


    (修正前)憲法改正をすべきかいなかをいまから議論しよう。
    (修正後)憲法改正をすべきか否かを今から議論しよう。

    (修正前)憲法改正可否を問う国民投票
    (修正後)憲法改正の可否を問う国民投票




    関連記事
    スポンサーサイト
    Secret

    TrackBackURL
    →http://readingmonkey.blog45.fc2.com/tb.php/562-bdcaa2e2
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。