もうすぐ新学期なので、新入生向けに、これまでの記事をまとめてみた。



    食べる

     独学者に必要な生活技術は、自炊にはじまる。
     自立した人間とは、つまるところ自分に必要な食べ物を自分で用意できる人間のことである。
     これが自己陶冶の前提であり、最初の一歩でもある。
     難しい話はさて置いても、ろくなものを食ってないと、確実に体調はおかしくなる。風邪が何日も治らなくなる。出掛ける気力も失われて、心身の状態はスパイラルに悪化していく。
     パフォーマンスが落ちてきた、集中力が落ちてきたという自覚があるなら-----集中力とは、ぶっちゃけ体力のことだ-----、薬剤やドリンク剤を口に放り込むよりも、まともに食って寝た方が早い。効果も高い。

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     本当はこの記事はシリーズ化するはずだったのだが(せめて常備菜をつくるところまで行きたかった)、いつか機会を見て。



    探す

     学校の授業で何か新しい知識を体系的に学べると思ったら大間違いである。

     90分授業がたとえば12回あるとして、ひっきりなしに喋ったとしても(勿論そんなことは不可能である)、講師が発することができる情報量は文字にして新書本2冊程度である。
     授業に期待できるのは、物理的に言って〈さわり〉だけである。
     
     では〈さわり〉だけだとして,それにどんな意義があるのだろうか? 
     学校は,あなたの知らない何かではなく,あなたが何を知らないかを教えるところである。
     
     無知に気付く機会を与えるまでが学校の仕事だ。
     それを引受け,コンテンツを充填し無知を埋めるのは,あなた自身がやらなくてはならない。
     
     知りたいと思うことなら,人はいくらでも独力で学ぶ。また独力で学べないと結局何も身につかない。
     しかし,そんな分野や知識が存在することをそもそも知らなければ,知りたいと思うこともできない。
     自分が〈知っていること〉と〈考え得ること〉の限界を越えて,まだあることも知らない何かに人を気付かせるのは,他者からの不意打ちである。
     
     自分がものを知らないという程度のことは,ほとんど誰でも知っている。
     しかし,自分が知らないことが何なのか,具体的に突き止め追求し始めることは多くない。
     何しろ知らないことは膨大にあり,分からないことは常態であって,日常の中では,それら未知なるものは背景に押しやられ,バックグラウンド・ノイズとして処理(キャンセル)される。
     でなければ,日常生活が回っていかないからだ。
     
     学校というコンテキスト(文脈)は,日常のコンテキストと異なる。
     そこでは,何かを知らない/分からないことは,それをキャンセルする理由にならない。
     あなたがまだ知らないのならば,学校はそれを学ぶ場所に他ならない。
     
     学校の授業や講義は,特に緊急性も必要性も高くない知識を,背景(バックグラウンド)から引きずり出して,目の前に置く。
     そのことで人が,己が無知と遭遇する場を用意する。
     具体的に何をどんな風に知らないかに気付く機会を与える。
     
     受講者の知識と知性にできるかぎり多くの穴ぼこを空け,なおも自己回復の気概を完全にはへし折らないのが,よい授業/講義である。
     分かりやすいだけの授業/講義は,ほとんど何も残さず過ぎ去っていく。
     
     受講者は,授業/講義からより多くの無知(知識の欠落)を拾い出し,その後の自己学習で補充する。
     もちろんこれには時間がかかる。
     参考資料へのレファレンスが適切で,受講者が調査リテラシーを一通り身につけていたとしても,おそらく授業/講義の3~4倍の時間が必要になる。
     調査リテラシーが残念なレベルならば、もっといくらでも時間がかかる。



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    文献をたぐり寄せる技術/そのイモズルは「巨人の肩」につながっている 読書猿Classic: between / beyond readers 文献をたぐり寄せる技術/そのイモズルは「巨人の肩」につながっている 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    「4つの型」で理解する、調査/探索の基本と応用 読書猿Classic: between / beyond readers 「4つの型」で理解する、調査/探索の基本と応用 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

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    覚える

     覚えることは、時に疎まれ時に軽んじられるが、思考作業の不可欠な基盤である。
     暗記は、思考の負担を減らし、注意という貴重な認知資源を有効活用できるようにする。
     覚えることを回避しだすと、学習は必ず挫折する。

     語学を例にするのがわかりやすいだろう。

     外国語を学ぶ時、説明されている事柄のそれぞれを〈分かった〉上で先に進んでいくと、やがて陽が落ちてあたりが暗くなっていくみたいに、次第に理解が困難になって先に進めなくなる。
     先に進むにつれて、いちいち明示されないが前提にされている事項(ルールや語彙)が増えていくが、そのペースについていけなくなるのだ。

     人間が一度に注意を向けることができる対象はごくわずかである。
     複雑に関連しあった事柄を処理するには、新たに登場した少数の事項以外は、注意を向けなくても自動的に処理されている必要がある。

     たとえばアルファベットがおぼつかない状態で、英単語を覚えることは大変な苦役である。
     「えー半円が左を向いてるのがビー(b)で、右を向いてるのがディー(d)だ」なんてことに注意(という貴重な認知資源)を割いていると、単語レベルでの情報処理にろくな注意が回らない。
     これではすぐにへとへとになるばかりか、何しろ注意が分散しているのだから苦労のわりに頭に残らない。

     同じことがいろんなレベル、いろんな領域でも言える。

     記憶力に劣等感を持つ人は多いが、忘却は人間の仕様である。
     呼び出されない記憶は優先順位が下がり、呼び出しにくくなるのは当然のことだ。
     学習に必要なのは、決して忘れることのない記憶力ではなく、忘れることを前提にした記憶のマネジメントである。


    (保存版)覚え方大全/自分で選ぶための53種の記憶法カタログ 読書猿Classic: between / beyond readers (保存版)覚え方大全/自分で選ぶための53種の記憶法カタログ 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    1年の計はこれでいく→記憶の定着度を4倍にする〈記憶工程表〉の作り方 読書猿Classic: between / beyond readers 1年の計はこれでいく→記憶の定着度を4倍にする〈記憶工程表〉の作り方 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    復習のタイミングを変えるだけで記憶の定着度は4倍になる 読書猿Classic: between / beyond readers 復習のタイミングを変えるだけで記憶の定着度は4倍になる 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    物覚えを確かに改善する、しかし記憶術の本を読む人間はまずやらない作業 読書猿Classic: between / beyond readers 物覚えを確かに改善する、しかし記憶術の本を読む人間はまずやらない作業 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加




    読む

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    本当のデカルトさんが読者に本の読み方を提案する 読書猿Classic: between / beyond readers 本当のデカルトさんが読者に本の読み方を提案する 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    点の読書、線の読書、面の読書 読書猿Classic: between / beyond readers 点の読書、線の読書、面の読書 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

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    書く


    書けない時にあなたを助けるアウトライナー・ストーミング 読書猿Classic: between / beyond readers 書けない時にあなたを助けるアウトライナー・ストーミング 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    とにかく速くて論旨も首尾一貫する文章の書き方 読書猿Classic: between / beyond readers とにかく速くて論旨も首尾一貫する文章の書き方 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加


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    考える


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    動機付ける

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    問い:何故学ぶのか? → 答え:自由になるため 読書猿Classic: between / beyond readers 問い:何故学ぶのか? → 答え:自由になるため 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加



    マスターする

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    その他

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