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2012.06.13
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です。
勉強にはいろいろなやり方があるけれど、いろんなことをいっぺんに書いてしまうと読むのがたいへんなので、かんたんなものだけを選んで書きました。
ひとつのやり方が分かれば、他のやり方をさがしたり工夫したりできるようになると思います。
覚えよう
覚えることをバカにする人がいます。
丸暗記なんて意味がないと悪口をいう人もいます。
覚えるなんて、テストでしか意味がない、というのです。
理解することが大事で、覚えることは大事じゃない、という人もいます。
こんなにコンピュータが身近になったのだから、人間が覚えておかなくても構わないのだ、という人までいます。
ちがいます。
覚えることは、勉強のゴールではないけれども、大切な第一歩です。
覚えているだけでは知っているとはいえませんが、知っている人はかならず覚えています。
理解しても覚えてないようでは、理解したつもりになっているだけです。
覚えるとは、何も見なくても、すぐにその知識を使える状態にしておくことです。
新しいことを学ぶには、それまでに学んだことを使わないといけません。
難しいことほど、それまでに学んだことを使いこなさないと理解できません。
「難しいから分からない」という人は、それまでに学んだやさしいことを、覚えていないことが多いのです。
覚えておくと楽できます。
その分を、新しい難しいことを理解するのに回すことができます。
人間の注意力は有限です。一度にたくさんのものに注意を向けることはできません。
限りある注意力をむだづかいせず、うまくつかうには覚えることが必要です。
(参考)(保存版)覚え方大全/自分で選ぶための53種の記憶法カタログ 読書猿Classic: between / beyond readers

(参考)復習のタイミングを変えるだけで記憶の定着度は4倍になる 読書猿Classic: between / beyond readers

(参考)15秒で訓練なしにできる記憶力を倍増させる方法 読書猿Classic: between / beyond readers

※パソコンを使える人は、Ankiという無料ソフトがオススメです。次の記事が参考になるかもしれません。
決して後退しない学習ーAnkiを使うとどうして一生忘れないのか? 読書猿Classic: between / beyond readers

声を出して読もう
それではどのようにして、覚えればよいでしょうか。
声を出して読むのは、一番かんたんな、だれにでもできる記憶術です。
たったこれだけで、声を出さないときよりも10% よく覚えられると言われています。
書き写すのもよい方法ですが、声を出して読むことは、書き写すよりはずっと楽に速くできます。
速いから、同じ時聞があれば、より多くくり返すことができるのです。
分かってないところはうまく読めないので、自分がどこがよく分からないか見つけるにも使えます。
これから勉強するところも、今日勉強したところも、声を出して読みましょう。
何回読めばいいかとよく聞かれますが、たくさん読めばそれだけの成果があります。
でも、はじめて声を出して読む人に「100 回読め」といったら嫌になるでしょう。
だから今まで声を出して読んでない0 回の人は、まずは1回読むことを目指しましょう。
いつも1回読むという人は、3回読むことを、いつも3回読む人は、10回読むことを目指しましょう。
普段やってない人が繰り返し声を出して読むと、あごの筋肉がだるくなりますが、毎日やれば数日で平気になります。
10回声を出して読むと、普通のものなら、そこそこ覚えることができます。
30回声を出して読むと、何も見なくてもすらすら読んだものを唱えることができるようになります。
(参考)読書猿Classic 叫ぶ英会話!音読が想像以上に凄い6つの理由 Read Aloud!!

書き写そう
書き写すのは、目と手と脳を動員する強力な方法です。
勉強の仕方を尋ねると「書いて覚えた」という人が一番多いです。
しっかり集中していなかったり、よく分かっていないと書きまちがえますが、どこが分かっていないかも、ばっちり紙の上に残るのもすぐれた点です。
もし時聞がたっぷりあるなら、勉強につかう教科書や問題集をすべて書き写すといいでしょう。
時間も労力もかかって効率悪そうに見えるますが、効果からいうと結局安くつきます。
特に細かい部分まで正確に理解する必要があるもの(数学や外国語なんかがそうです)を勉強する場合は、絶対おすすめです。
欠点は時間がかかることです。
自分のペースで勉強できる人はよいのですが、多くの人は試験などのタイムリミットがあります。
時間が足りなくなる場合は、
(1)声を出して読むなど、代わりの手段を併用する
(2)だいたいの内容が分かればよいところは飛ばして、大事なところに限って書き写す
とよいでしょう。
問題となるのは実は「時聞が足りない」ことではなく、むしろ大変そうで「書き写す気にならない」ことです。
やったことがない人に、いきなり「100ページ写せ」と言っても嫌になるでしょうから、少しの分量からはじめてみましょう。
はじめての人は1ページ写すのでも、一苦労です。スピードは上がらず、間違いも多いと思います。
たとえば英語を習いたての人が「This is a pen.」を書き写すところを見ていると、まず「T」 を写して、次に「h」を写して、次に「i を写して・・・・と、一文字ずつ喜き写したりします。
これでは時間はかかるい間違いが生じる可能性も高いです。
これが少し英語ができるようになると「This」「is」「a」「pen」と単語ごとに覚えて書き写すことができるようになります。
もっと英語ができるようになると数個の単語を一度に覚えて書き写すことができるようになります。
英語ができるようになればなるほど、一度に覚えられる単語の数は増えるので、書き写しのスピードも格段に上がります。
他の科目でも、このことは当てはまります。
書き写しのスピードが上がれば、実力がついてきた証拠です。
注意事項が3 つ。
(1)なるべく見て覚えて、一度アタマに入れてから、見ないで書き写すこと
(2)ちゃんと書き写せているか、写したあと必ずチェックすること
(3)写し間違いを消さないこと。むしろマーカーなので目立たせること
同じ書くのでも、単語などを繰り返し書いて覚えるのは、よした方がいいでしょう。
繰り返し同じことを書いていると、アタマを素通りして、手だけが自動的に動くようになるから、無駄が多いからです。
またくり返していると、どこかでミスが生じて、気付かずそのミスごとくり返してしまうこともあります。
さっきの3つの注意事項に気をつけて、1 回書き写すごとに必ずチェックすることが必要です。
(参考)書き写す/人文学(ヒュマニティーズ)の形稽古 その1 読書猿Classic: between / beyond readers

くり返そう
くりかえしは大切です。
人間は忘れる動物ですが、それに打ち勝てるのはくりかえすことだけだからです。
人間は不正確な動物ですが、それに打ち勝てるのはくりかえすことだけです。
天才も忘れるし間違います。
天才がそう見えないのはサボらないからです。
くりかえすことが大切なことはみんな知っていますが、実際にくりかえす人は驚くほど少ないです。
これはしかたがないことでもあります。
人間は飽きるようにできているからです。
同じ刺激の繰り返しより、新しい刺激に敏感なようにできています。
でないと、他の動物に襲われたりしても対応できず、自然の中で生き残れなかったのです。
だったら、違う刺激になるように、くりかえし方を工夫しましょう。
一番簡単なのは、
(1)時間制限をつかう
たとえば解くのに10分かかった問題を、2度目は5分で解いてみましょう。これだけで同じ問題を解くことが、まるでちがった体験になります。
5分間では解けなくてもかまいません。一度とりかかれば、最後まで解きたくなるはずです。
(2)「中途半端はイヤ」という性質を利用する
人聞は、一度やりかかったことは最後までやりたくなる性質をもっています。これを利用しましょう。
たとえば教科書を3 回読もうと思うなら、1 回目はすべて読まずに、少しでいいから飛ばしておきましょう。2 回目も別のところを飛ばします。最終回だけ、どこも飛ばさず読むのです。
(参考)これがマスターへの道→しつこく繰り返す技術、7つのステップ 読書猿Classic: between / beyond readers

1年の計はこれでいく→記憶の定着度を4倍にする〈記憶工程表〉の作り方 読書猿Classic: between / beyond readers

思い出そう
人間は、インプットしたものではなく、アウトプットしたものを覚えます。
もう少し正確に言えば、アウトプットした情報を、「ああ、アウトプットする値打ちがあるものなんだな」と優先順位が高いところに準備するのです。
インプットしただけでは、うまく出てこない(思い出せない)ことが多いです。
いくら勉強してもダメだという人は、アウトプットをあまりしていないことが多いです。
だからテストの勉強なら特に、アウトプット(思い出すこと)をしておきましょう。
繰り返しインプットするより、アウトプットの回数を増やす方がいいでしょう。
勉強日誌をつけよう
勉強したら、どれだけやったかを記録しておきましょう。
いろいろ書く必要はありません。
カレンダーに科目やテキストのタイトルと進んだページ数を書き込んで、いくのでかまいません。
記録をとると、やる気が出ます。
調子の悪いときは、自分の支えになります。
なにより自分の進歩が目に見えるようになります。
いろんな勉強法を試してみるときにも、それがうまくいったのか、うまくいかなかったのかを確かめるには、勉強の記録が必要になります。
(参考)日記でなく日誌をつけよう/独学者のための航海日誌(ジャーナル)のススメ 読書猿Classic: between / beyond readers

(参考)チリを積もらせ山にする→人生航海日誌(ログ)と動機付けの技術 読書猿Classic: between / beyond readers

自分をほめよう
ほめるのが得意な人はあまりいません。
本当は、小さなことをすぐにその場でほめるのがよいのです。
ところが、うまくいったと喜んでいると「調子にのるな!」と叱られ、うまくいかないと「何をやっているのだ!?」とまた叱られることが多いです。
これでは、よくできる人でも〈自分にダメ出し人間〉になっても不思議ではありません。
自分にダメ出しするのがくせになると、やる気の容量が下がります。
「どうせ自分なんて」と言うのがクセになると、できることもできなくなります。
まわりがほめるのがへタなら、せめて自分くらいは、ほめてやりましょう。
はじめはへタでもくりかえすうちに、自分をほめることもうまくなります。
これはまじめな話ですが、自分をほめることを学ばないと、その人の勉強は遅かれ早かれ行き詰ります。
勉強してほめられるのは、あっても子どものときだけです。
大きくなると、誰もあまりほめてくれなくなります。
さらにレベルが上がると、教えてくれる人も、同じように頑張っている人も、自分の周囲にいなくなります。
ほめられることも、はげましあうこともなしに、やっていかなくてはならなくなります。
やる気を自分で稼いで来なくてはならないのです。
自分をほめることは、自力で飛べるようになるために絶対に必要です。
自分をほめることは、自分を甘やかすことではありません。
甘やかすとは、たとえば「おまえは天才だから努力しなくていい」というようなことです。
というか、天才は努力します。とことんします。止まらずします。
天才とは、努力することを止められなくなった人のことをいうのです。
自分をほめることは、やったことをやったと認めることです。
その日やったのがたった1ページでも、
「1 ページなんて、こんなの勉強したうちに入らない」
とけなすのでなく(そんなことは放っておいても周りの大人がしてくれるでしょう)、
「とにかく今日は1 ページはやったのだ。自分よ、ごくろうさん」
と小さなことをねぎらうことです。
実は小さなことも拾い上げてほめるためにも、勉強の記録をつけるのです。
勉強にも調子のよい/わるいがあります。
たくさんできる日もあれば、できない日もあります。
でも、一歩も進めない日があったからといって、進むのをやめなくてはならないわけではありません。
たった一歩でも進んでいるのです。
体は前を向いています。
目は先をみつめています。
そしてもう後ろ足は地面をけっているのです。
今度こそ、続けよう→3日坊主にさよならする技術 読書猿Classic: between / beyond readers

「分からない」と付き合おう
「こわい」とか「不安だ」とか、嫌な感情はやっかいな性質を持っています。
逃げると、余計に強くなるという性質です。
「こわい」ことから逃げると、余計に恐く感じるようになります。すると、ますます逃げたくなります。逃げると、余計に怖くなって……というループに陥ります。
恐怖症がたちが悪いのは、こじれると何段階も先回りして、逃げるようになることです。たとえば最初、電車に乗れないだけだったのが、そのうち外出自体できなくなったりします。
勉強の話に戻しましょう。
分からないと、誰でも嫌な感じがするものです。
いろいろ嫌な考えも頭に浮かんだり、「なんでこんなものしなきゃならないんだ」とムカムカ腹が立ったり、「自分はバカなんじゃないか」と悲しくなったりします。
これ自体はあたりまえの話ですが、〈わからない〉の嫌悪感も、そこから逃げると強くなります。
逃げると、嫌悪感を感じる範囲も拡大します。
例えば最初二次関数の問題でつまずいたのが数学を避けるようになり、こじれると勉強の臭いがするものすべてを避けるまでいってしまいます。
それどころか自分だけでなく、自分の周りの人間が勉強するのも嫌うところまでいくこともあります。
〈わからない〉の嫌悪感も、嫌→逃げる→嫌→逃げる→…のループにはまると、雪の斜面を雪玉がころがるように急成長する事実は、勉強好きな人と勉強嫌いの人との間の大きな違いも最初は小さな違いから成長したことを教えてくれます。
〈分からない〉嫌悪感のループにはまった人には、近づくことはおろか話題にさえ絶対したくないものに、すき好んで人生さえかけようという人もまた存在する理由です。
人は、少ない時間や努力で同じだけの成果を上げる人をうらやましく思います。
けれど、長い期間かけて大きな差を生むのは、分からないことの嫌悪感に対する耐久力(それは勉強における肺活量です)の、ちょっとした差の方です。
分からない嫌な感じをそのまま持っていると、最初その感じは強くなりますが、しばらくするとゆっくりと弱くなっていく時が来ます。それでも持っていると、そのうち我慢できるくらいになります。相変わらずいやな感じですが、もう取り乱すほどひどいものではなくなります。
分からない嫌悪感を〈乗り越える〉、というほどかっこいいものではなく、〈やり過ごす〉ことができるようになると、〈分からない〉ものに飛び込むことができるようになります。
そうして、世界でまだ誰も知らないことを最初に知るための勉強Studyは、そこからはじまるのです。
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