Pairシステム Linkシステム Lociシステム Pegシステム Phoneticシステム
    創案者ソウアンシャ 不詳フショウ 不詳フショウ シモニデス?(紀元前556年頃 - 紀元前468年) Henry Herdson (mid-1600s)  Winckelman (1648)
    Francis Fauvel-Gouraud (1844)
    イメージ ○ー○

    ○ー○
    ○→○→○→…… ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    ■-■-■……
    ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    □→□→□…… 
    ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    □-□-□……
    ↑ ↑ ↑
    1 2 3…… 
    概要 一対イッツイのものをイメージでムスびつける。 A、B、C、D……ならば、AとB、BとC、CとD……という具合グアイにイメージでムスびつける。 現実ゲンジツまたは仮想カソウ場所バショに、オボえたいものをイメージでムスびつける。 順序ジュンジョ明確メイカクなもの(peg;かけくぎ)を記憶キオクしておいて、それにオボえたいものをイメージでムスびつける。 数字スウジ対応タイオウするキーワードを生成セイセイし、それに覚えたいものをイメージで結びつける。



     Loci(場所)システムは、創出者の名前が伝えられる最古の記憶術であり、もっとも長く実用に供してきた記憶術でもある。
     
     Lociとはlocusの複数形で「場所」を表すラテン語に由来する。現代語では、数学における「軌跡」、遺伝生物学における「遺伝子座」(とは染色体やゲノムにおける遺伝子の位置)を表す語である。
     locusに対応するギリシア語はtoposであり、単に物理学的な空間を意味するだけでなく、アリストテレス以来、修辞論上の場所、すなわち何かを論じる際の基本的論述形式(すなわち議論の型)、あるいは論題を蓄えている場所をも意味した。
     英語のcommonplace(ありふれた言いぐさ、 きまり文句)やtopic(論題、 主題)の語源でもある。
     
     記憶術についての最古の文献は、キケロ『弁論家について』だが、そのなかで古代ギリシアの詩人シモニデス(Simonides)が用いた方法として登場する。
     キケロに仮託された『ヘレンニウス宛の弁論術 Rhetorica ad Herennium』は、Lociシステムについて、現在用いられているほとんどそのままの方法を詳述している。


    弁論家について〈上〉 (岩波文庫)弁論家について〈上〉 (岩波文庫)
    (2005/05/17)
    キケロー

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    Rhetorica ad Herennium (Loeb Classical Library)Rhetorica ad Herennium (Loeb Classical Library)
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    Cicero

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     以後、記憶術はレトリカ(弁論術)の一部門として、古代ギリシア、ローマからヨーロッパ中世へと継承されるが、その内実は記憶すべきものを空間的に配置するLociシステムに他ならなかった。ジュリオ・カミッロの記憶劇場Teatro della Memoriaも当然この延長線上にある。
     また旧ソ連の心理学者ルリア(Luria, A. R.)が行った1920年代から50年代に渡る研究は、心理学における記憶術研究の嚆矢となったが、彼が研究した記憶術者S(シェレシェフスキー:Shereshevskii)が用いたのも、このLociシステムだ*1
     フィクションでは、ハンニバル・レクター博士が使っていたのもLociシステムだった*2
     
    *1 Luria, A. R., The Mind of a Mnemonist,1968 (天野清訳『偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活』1983).

    偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 (岩波現代文庫)
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    A.R.ルリヤ

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    *2 トマス・ハリス『ハンニバル』『ハンニバル・ライジング』

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     Lociシステムは、ペア法やリンク法と同じく、記憶すべきものを視覚イメージに置き換え、複数の視覚イメージを結びつけることで行われる。
     ペア法やリンク法と異なるのは、イメージ化したものを結びつけ繋留する〈掛け金〉をあらかじめ用意しておくことである。
     そしてLoci(場所)システムの名のとおり、イメージを結びつけ繋留されるのは〈場所〉である。
     
     〈場所〉は、実際にある場所でも架空の場所でもかまわないが、我々がよく知っている(忘れようがない)ものが選ばれることが多い。
     我々が毎日暮らす家や部屋、よく知る近所の町並み、毎日通う通勤・通学路で目にするもの、より簡便には自分の身体の一部を用いることもある。
     現実の空間的実在物から〈場所〉を選ぶことで、〈場所〉それぞれの順序関係は決定され固定される。
     ただそれぞれのアイテムを思い出せればいいのではなく、決まった順序どおりに思い出したい場合など(話す順序が重要な演説など、まさにこの用途である)、〈場所〉の順序が固定されることは都合がいい。
     
     
    ■Lociシステムの実際

     「雑誌、自動車、医者、薔薇、ボール」を覚えたいとしよう。
    (Linkシステムでも使った例である。実際には5つ程度を覚えるのにLociシステムを持ち出すのは大げさかもしれないが、要領が分かれば5つも50も同じである)。

     Lociシステムは、大きく分けて2つのステップからなる。
     まず最初は、記憶を結びつける/係留する〈場所〉を用意すること。
     そして次は、用意した〈場所〉に記憶したいものをイメージ化して結びつけること。

     〈場所〉としては、いろんなものが候補となる。
     ある人は、通勤電車の朝乗る駅から降りる駅までの、それぞれの駅を〈場所〉にしている。これができるのは、彼がすべての駅とそのイメージを覚えているからだが、満員電車に飛び乗り降りるだけの通勤客全員が、通勤路線にそこまでの愛着を感じていない気がする。
     ある人は、最初に覚えた自分の体の部分を〈場所〉にする方法を使っている。自分の体はどこへいっても着いてくるし、長年連れ添ってきているのでよく知っている。自分の体のそれぞれの場所に感覚に意識を集中するのは瞑想的テクニックにも通じていて、試験でも思い出そうとするのと落ち着くのとが同時にできて具合がいいという。

     しかし「記憶の宮殿」とはじめてしまったから、ベーシックにあなたが普段暮らしている部屋をまずは使ってみるとしよう。
     〈場所〉には、寝室ー洗面ートイレーダイニングー玄関の5つを使おう。あなたが朝、目覚めて出発するまでに通る順序担っている。

     
     たとえば、こんなイメージを作っていく。

    1.雑誌と寝室〈場所〉 「朝、寝室で目覚めると、雑誌のページを布団にしているのに気付く。インクの臭いがして、ふとん(ページ)をはねのけて出ようとすると、ページの紙ががさがさと音を立てる」

    2.自動車と洗面〈場所〉 「洗面で顔を洗おうと蛇口をひねると、蛇口から車がうにゅ~んと出てくる」

    3.医者とトイレ〈場所〉 「トイレを開けると、アタマに反射鏡をつけ白衣を来た医者が、両手をつないで腕で便座をつくり、どや顔で「早く座れ」としゃがんで待っている。どうやら自分は便器をやっていると言いたいらしい」

    4.薔薇とダイニング〈場所〉 「気を取り直して朝食を取ろうとダイニングへ行くと、いつも自分が座る席に巨大なバラが座って、コーヒーを飲んでいる。しかしコーヒーはさすがに熱かったらしく、いきなりしおれていく」

    5.ボールと玄関〈場所〉 「出かけようと玄関へいくと、ドアの替りに巨大なボールが入り口を塞いでいる。出かけなければならないので、玉ころがしの要領でボールを押し転がしながら『いってきます』を言って外へ出る」

    ※コツ
    (1)各イメージは、一度にひとつずつ思い浮かべる。
    (2)ひとつのイメージに多めの時間(最初のうちは8秒以上)をかけ、先へ急がない。
    (3)後戻りしない(覚えたかどうか不安になると後戻りしがち。そうならないためにも、最初はひとつずつのイメージにしっかり時間をかける)。 
    (4)作り出すイメージは奇妙なものほどいい。
     具体的には(a)結び付けられる2つがただ並置されているのでなく相互にインタラクションがあること、(b)イメージに動きがあること、に注意してイメージを作ると記憶に残りやすい。

    (詳しくは→)いかにして忘れられないイメージを作り上げるか/記憶術やや詳しい目その2 読書猿Classic: between / beyond readers いかにして忘れられないイメージを作り上げるか/記憶術やや詳しい目その2 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加
     
     
     
    ■Lociシステムの長所

     Lociシステムの長所も短所も、あらかじめ記憶を結わい付ける〈場所〉を用意するところから生まれる。
     
     長所のひとつめは、記憶する技術としての性能が高いことである。記憶再生の正確さは高く、記憶の保持期間もまた他の記憶術と比較しても著しく長い。
     ロスとローレンス(Ross, J. & Lawrence, K. A.1968)の実験では、Lociシステムを用いた場合40語のリストの直後再生成績が37.5語ときわめて優れていた
    * Ross, J. & Lawrence, K. A., Some Observations on Memory Artifice, Psychonomic Science, 13, 1968.

     記憶術者Sは、Lociシステムで記憶した数十語からなる単語リストや数字の系列、数式などを十数年後にも誤らず再生したとルリアは報告している。
     Lociシステムのこの性能の高さを説明する仮説のひとつは、Lociシステムが、海馬にある場所ニューロンの特性を利用しているというものである。場所ニューロンは名前のとおり、場所の記憶を司る。場所の記憶は動物にとって重要なため、長期記憶に保存されやすい性質を持っている。
     場所についての記憶は、たとえば人の名前についての記憶より、保持されやすく、また再生されやすい。
     加えて、場所についての記憶は、他の記憶を引き出すトリガーの役割を果たすことが多い。再び人の名前の例だと、どこで会ったかを思い出せればその人の名前やその他の記憶が引き出されることが少なくない。
     記憶をイメージ化したものをひっかける結びつけ繋留する〈掛け金〉として、記憶者がよく親しんでいる(忘れようがない)〈場所〉を使うことも、人工的に〈掛け金〉を用意するPegシステムや合成するPhoneticシステムに比べて、Lociシステムが長期的にも安定した記憶再生を誇ることに関係があるのかもしれない。
     
     長所のふたつめは、大量の記憶を再生することについてである。Lociシステムは、元々弁論家がメモなどの他の記憶手段を使えないことから編み出し継承した記憶技法であるので、弁論や演説のように多くの項目を決まった順序で再生することに優れている。弁論家や演説家は巨大な建物や大通りをイメージしてこれを〈場所〉として用いて、弁論・演説の項目をイメージに転換し、建物や大通りのそこここに結び付けていく。これができれば、あとは弁論や演説の最中に、自分が記憶のイメージを置いた建物や大通りを想像の中で歩くことで、記憶した項目をあらかじめ定めた順番で想起できる。
     



    ■Lociシステムの短所

     短所のひとつめは、今見た長所の裏返しである。
     Lociシステムは大量の記憶対象を決まった順番に(シーケンシャルに)再生するにはよい方法だが、逆に必要な場合に必要な項目だけを取り出す(ランダム・アクセス)ことには、あまり適さない。
     もっとも現実の大通りで目当ての店を探して回ることが可能であるように、想像の大通りという〈場所〉を順番に訪ねて歩くことはできる。一発で呼出しができなくても、かつてのテープレコーダーから目的のデータを探したように、である。しかしやったことがある人なら、別の方法があるなら、そっちを使いたくなるだろう。
     
     Lociシステムは、古くから続く記憶術である。古代人もまた、その弱点には気付いていた。
     彼らは一連の記憶の中から、特定の記憶を探し出すための工夫を考えている。
     そのうち理解しやすく使いやすいものは、我々が街路に名前や数字をつけるように、記憶の〈場所〉にも同じことをするものである。
     一定の間隔(たとえば10個おきに)印をつけたり(たとえば木挽台のイメージがローマ数字の X の形をしていることから用いられた)、何番目かを表すシンボル(その数に応じた指を立てた手のイメージがよく使われた)を〈場所〉に刻み込んだりした。
     
     短所の二つ目は、〈Lociシステム〉の根本に関わる。つまり、あらかじめ〈場所〉を用意する必要があることが、それである。
     これはペア法やリンク法のように、やり方を教わればその場でできるノウハウのレベルから、準備と訓練が必要な術(アート)のレベルに記憶術の水準が移行したことを意味する。
     我々の家や町、自分の体などは、よく見知ったものであるが、それをLociシステムに使おうとすれば、どこにイメージを配置するかをあらかじめ決めておかねばならない。置く場所があやふやだと、記憶を再生する場合にも、どこに注意を向ければいいかが怪しくなり、再生率が下がる。
     〈場所〉の準備は、思った以上に大変である。我々に身近であり記憶術の〈場所〉に使えるものは、一つ二つではないが、しかし多すぎもしない。家、通り、体…と様々な種類の〈場所〉が考えられるが、しかし我々が記憶しなければならない情報の種類は、通常それよりずっと多い。
     Lociシステムは強力な記憶技法だが、その最大の欠点はLociシステムに用いる〈場所〉が不足・枯渇することである。Lociシステムより新しい記憶術は、したがってこの記憶を繋留する〈場所〉の枯渇にいかに対処するか、という方向で進化した。
     
     誤解がないように申し添えると、Lociシステムの〈場所〉はもちろん、複数の目的に、繰り返し用いることができる。
     もし再利用可能でないなら、新しく何か覚える度に〈場所〉を用意しなければならず、たとえば10個のアイテムを記憶するのにその倍のイメージが必要となり、他の技法と比べてきわめて不経済なものになっただろう。
     
     しかし一種類の〈場所〉に複数種の情報を結びつけることは、(その〈場所〉を使い始めて日が浅いうちはとくに)パフォーマンスの低下をもたらす。
     

    ※〈場所〉の重複使用時に干渉をさけるには?

    1.複数の〈場所〉系列を用意する。
     同じ場所系列の使用は、1〜2日はあける。

    2.累進的エラボレーション
     重ねたイメージー場所法にリンクシステムを加えたもの。
     最初の使用では、〈場所〉と〈記憶したいもの〉を結びつける。
     次に使うときは、〈場所+1段目で記録したもの〉に対して、新たに〈記憶したいもの〉を結びつける。以下、同様。
     たとえば
    (1)「寝室」という〈場所〉に、記憶したいもの=《雑誌》を結びつける
    (2)「雑誌がある寝室」という〈場所〉に、記憶したいもの=《鏡》を結びつける
    (3)「雑誌がある寝室を写した鏡」という〈場所〉に、記憶したいもの=《猿》を結びつける
    ・・・といった具合に。




    ■我々の記憶ニーズと記憶術の提供するもののギャップ

     Lociシステムの2つの弱点が問題になるのは、我々の記憶ニーズが伝統的記憶術が応じていたものとは異なってきているからである。
     このギャップは、単にLociシステムだけでなく、伝統的記憶術が現代の記憶ニーズのなかで活用されにくい要因になっているので、少し詳述しよう。
     
     伝統的記憶術は、補助記憶となる記録手段なしに、大量の情報を記憶するところに特徴がある。言わば大容量少種類の記憶ニーズに、伝統的記憶術は応えてきた。
     しかし我々が直面する〈覚えきれない〉という事態は、これとは異なる。
     現代では、大容量少種類の記憶ニーズに対しては、さまざまな記録装置(紙から携帯端末まで)を用いることができる。
     呼び出す少数のキーさえ覚えていれば、実用的にはほとんど無限と言っていい記憶容量を(しかも低コストで)我々は活用することができる。
     
     
     したがって今の我々の記憶ニーズは、記憶を要するものが大量にあるというよりむしろ、多種多様であることの方にウエイトがある。

     たとえば円周率を何千桁も記憶するようなニーズは、記憶力競技にでも出場しない限り生じない。
     かつては長時間の演説や弁論といった大容量記憶のニーズがあったが(Lociシステムはまさにこのためのものだった)設けられた場面設定で一人の人間が多くの時間を割り当てられ長々と弁ずることができる時代はとうに過ぎ去った。

     少量だが多種多様なものを扱う記憶ニーズに対応するためは、記憶イメージを結び付けるものを現実の実在空間から選んだ〈場所〉に限るのではなく、いわば記憶の寄り代を人工的かつ規則的に(いつでも、そして、いくらでも)発生させる方法(システム)が必要になるだろう。
     Lociシステムから進化した近代的な記憶術(Phoneticシステムなど)の技法は、この方面への発展を遂げたものである。
     

    ■Lociシステムの用途

     このシリーズで紹介している記憶術のシステムは基本的に「上位互換」であり、pairシステムや link システムにできることはlociシステムにもできる。
     その上でlociシステムならでの例を上げよう。


     Lociシステムは、少量多種類の記憶ニーズに向かないと述べたが、現代でも大量少種類を長期間記憶する記憶ニーズも少なくない。
     何よりLociシステムの記憶特性は、語り部たちがいた時代と比べて現代人が衰退させた記憶様式を補完し得るものである。

     たとえば長期に渡ってくりかえし参照したいテキスト、その分野のバイブル的書物など、頻繁に更新されないが大容量なものを記憶するのにLociシステムは適する。
     
     また手順を記憶することは、順番の入れ違えにも強いLociシステムが得意とするところである。弱点であるランダム・アクセスが苦手な側面は、この用途では問題にならない。
     
     このふたつを結び合わせたものとしては、問題解決や思考技術、文章執筆など……のための、やや複雑な手順やテンプレートを、Lociシステムで記憶するという応用例がある。
     一般に、思考系のライフハックやメンタルスキルは、複雑になるほど使われない傾向がある。
     弱点を補強しパフォーマンスを改善するために、それらの手順は修正されていくのだが、修正バージョンは以前のものよりも複雑になることが多い。
     これが組織活動や専門領域のものであれば、文書化やツール化が複雑な手順の遂行をサポートするが、個人の行動・習慣という領域となると、ツールの利用は(チェックリストのような簡単なものですら)面倒がられ、その結果、実際に使われるのは(使われるとしても)、手順にして数ステップ以内のシンプルなものだけとなる。

     手順を記憶すること、長期に渡って正確に想起できるようにすることは、Lociシステムの本領である。
     そして一旦記憶してしまえば、手順書やチェックリストを、いつでもどこでも使える状態で〈携帯〉しているのと同じになる。
     多くの人がその煩雑さから使用をさし控える、しかし有効なノウハウや手続きが、Lociシステムのサポートによって普段使い可能となる。
     ここに記憶術は、機械的暗記・暗唱のスキルではなく、様々なメンタル・スキルを実装可能とするメタ・スキルとなる。
     
     有用なライフハックやメンタルスキルをいつでも使えるようにする/実際に活用するために、Lociシステムによる〈記憶の宮殿〉の一部を〈内なる道具箱〉に割り当てるべきだ、とRon-Hans Evansは言っている。


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    ※メモがない・できないときのLociシステム

     あらかじめ〈場所〉を用意しておく、というLociシステムの本来のやり方とは異なるが、今現にいる場所に記憶をリンクするLociシステムがある。
     たとえば夜中ふいに目が覚めて、夢やひらめきを消え去らないうちに記録したいが手近に筆記具が見当たらない時、金井美恵子『文章教室』の彼のように映画を見ていてメモを取りたいがライト付きボールペン(そんなものがあるのだ)を忘れてしまった時などに用いる。
     やり方は予想がつくように、覚えたいことをイメージ化した後、今自分がいる場所に結びつけておく。
     Lociシステムのジオタグ的応用だが、万全を期するためには、あとで自分が今日いた/移動した場所を思い出して(心の中で再び移動してみて)フォローアップしておく方がいいだろう。
     


      

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