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     わかりやすい文章の書き方は腐るほどある。
     おびただしい数の文章が生まれる中、少し読めば何が書いてあるのか分かるように書け、というのもどこにも書いてある。
     
     しかし良い文章はそれ以上のことをする。

     我々をその中に引き込み、無我夢中にさせ、いくつもの謎に導き、今まで知らないどころか想像もしなかったところまで我々を連れて行く。

     魅力的な文章を書く方法は、これまで才能や修練といった領域に丸投げされていて、分析的な検討を受けたり、定式化の試みがなされたりすることは、あまりなかった。

     しかし広く知られてはいないが、我々に新しいことを教え、惹きつける文章の多くは、マクロの構成においても、ミクロの文の組み立て/語句の選択においても、読み手に疑問と解答を繰り返し体験させるよう、疑問と解答=謎解きの構造を積み重ねて構成されていることが分かっている。
     
     今回は、謎解き型文章の基礎となる、文レベルでの謎解き文のつくり方について、簡単に紹介する。


    元ネタは、


    よくわかる文章表現の技術〈2〉文章構成編 (新版)よくわかる文章表現の技術〈2〉文章構成編 (新版)
    (2009/11)
    石黒 圭

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    そこらへんの有名無名の兼業文章家が「文は短い方がいい」などといった俗説を垂れ流し、類書にも書いてあることを繰り返して量産される文章表現本のジャンルにあって、プロの日本語研究者が、日本語を書くときに無意識にやっている思考や判断を(留学生にも分かるレベルまで)分解分析し、かつ実証データとともに解き明かす、文章表現についての現在最強本。文章表現に関して書いてことがないくらいの、なんとシリーズ全5巻。


    よくわかる文章表現の技術〈1〉表現・表記編 (新版)

    よくわかる文章表現の技術〈2〉文章構成編 (新版)

    よくわかる文章表現の技術〈3〉文法編

    よくわかる文章表現の技術〈4〉発想編

    よくわかる文章表現の技術〈5〉文体編




    パターン1:AというB 体言篇

    例文1:「先日、夏目漱石の『こころ』という作品を読んだ。」

    (1)核となる体言(名詞)を修飾している部分を取り出す
    →核となる体言「作品」(「作品を読んだ」というのが文章の核だから)。
    →核となる体言を修飾している部分(以下、「体言修飾部」と呼ぶ)「夏目漱石の『こころ』という」

    (2)体言修飾部を後ろに回して文にする
    →元の文:「先日、夏目漱石の『こころ』という作品を読んだ。」
    →後ろに回した文「先日、作品を読んだ。夏目漱石の『こころ』という作品だ。」

    (3)とどめに、さっき元の文から体言修飾部を抜いた場所を、新しい体言修飾部で埋め戻す
    →「先日、とても心に残る作品を読んだ。夏目漱石の『こころ』という作品だ。」

    (4)こうすると読み手は疑問→解決というプロセスをたどるように読む
    「先日、とても心に残る作品を読んだ。」
      (読者:へえ、何を読んだんだろう?ー疑問)
    「夏目漱石の『こころ』という作品だ。」
      (読者:やれやれ、がっかりー解決)

     読み手にこうした頭の使い方をさせるために、(3)で挿入する新規の体言修飾部は、体言「作品」が具体的に何なのかに読者の意識を向けさせるものが望ましい。

     「先日、作品を読んだ。」
     「先日、ある作品を読んだ。」 ←「ある」を挿入
     「先日、よい作品を読んだ。」 ←「よい」を挿入
     「先日、すごい作品を読んだ。」 ←「すごい」を挿入
     「先日、とても心に残る作品を読んだ。」←「とても心に残る」を挿入

     最後の「とても心に残る」もあまり良くないけれど、ここはある程度の長さがあった方が、飛ばされにくく引っかかりやすい。




    パターン2:AだからBだ 用言篇

    例文2:「昨日夜更かししたから、試験中、頭が働かなかった。」

    (1)用言(動詞や形容詞)を修飾している部分を取り出す
    →用言「頭が働かなかった」
    →用言を修飾している部分(以下、「用言修飾部」と呼ぶ)「昨日夜更かししたから」

    (2)用言修飾部を後ろに回して文にする
    →元の文「昨日夜更かししたから、試験中、頭が働かなかった」
    →後ろに回した文「試験中、頭が働かなかった。昨日夜更かししたからだ。」

    (3)とどめに、さっき元の文から用言修飾部を抜いた場所を、新しい用言修飾部で埋め戻す
    →後ろに回した文「試験中、頭が働かなかった。昨日夜更かししたからだ。」
    →用言を修飾する別の語句を追加した文「試験中、思うように頭が働かなかった。昨日夜更かししたからだ。」

    (4)こうすると読み手は疑問→解決というプロセスをたどるように読む
    「試験中、思うように頭が働かなかった。」
      (読者:へえ、なんでだろう?ー疑問)
    「昨日夜更かししたからだ。」
      (読者:そうか、なるほどー解決)

     読み手にこうした頭の使い方をさせるために、(3)で挿入する新規の用言修飾部は、用言「頭が働かなかった」の理由に、読者の意識を向けさせるものが望ましい。

    「試験中、頭が働かなかった。」
    「試験中、とても頭が働かなかった。」 ←「とても」を挿入
    「試験中、死ぬほど頭が働かなかった。」←「死ぬほど」を挿入
    「試験中、いつもより頭が働かなかった。」←「いつもより」を挿入
    「試験中、思うように頭が働かなかった。」←「思うように」を挿入

    この例だと、単に「頭が働かない」度合いを強める表現よりも、何かあってそうなったことを匂わせる「いつもより」や「思うように」の方が有効かもしれない。



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