Pairシステム Linkシステム Lociシステム Pegシステム Phoneticシステム
    創案者ソウアンシャ 不詳フショウ 不詳フショウ シモニデス?(紀元前556年頃 - 紀元前468年) Henry Herdson (mid-1600s) Mink von Weunßhem (1648)
    Francis Fauvel-Gouraud (1844)
    イメージ ○ー○

    ○ー○
    ○→○→○→…… ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    ■-■-■……
    ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    □→□→□…… 
    ○ ○ ○……
    ↑ ↑ ↑
    □-□-□……
    ↑ ↑ ↑
    1 2 3…… 
    概要 一対イッツイのものをイメージでムスびつける。 A、B、C、D……ならば、AとB、BとC、CとD……という具合グアイにイメージでムスびつける。 現実ゲンジツまたは仮想カソウ場所バショに、オボえたいものをイメージでムスびつける。 順序ジュンジョ明確メイカクなもの(peg;かけくぎ)を記憶キオクしておいて、それにオボえたいものをイメージでムスびつける。 数字スウジ対応タイオウするキーワードを生成セイセイし、それに覚えたいものをイメージで結びつける。


     

     Phoneticシステムは、Pegシステムを改良したものとみなすことができる。
     Phoneticシステムは、数字を子音に置き換える数字子音置換法とPegシステムと組み合わせることで、Pegシステムの長所を保ったまま、その短所を改善するものだった。
     
     Pegシステムでは、記憶を結びつける〈掛け釘〉は、順序をもった素材であれば、何からでもつくることができる。数字やアルファベットでも、また黄道十二宮や干支のように数字と直接関係がなくてもよい。
     Pegシステムはこれによって、記憶内容へのランダム・アクセスを実現した。
     覚えたことを順にみていかなくても、たとえば4番目のアイテムを直接に取り出すことができた。
     
     一方、Pegシステムの弱点は、Pegの作成にあった。
     順序をもった対象があれば、いくらでもPegの系列は作成可能だが、Peg作成は、元になる素材を見つけることに依存している。長い系列の(とくに2,30アイテムを越えた)Pegをつくることは実際には難しい。
     たとえば三十六歌仙や四十七士を素材とすれば、36ないし47のアイテムを格納できるPegが作れそうだが、ここまでアイテム数の多い素材はそもそも中々覚え切れず、また何番目と指定してアイテムを取り出すことは更に困難である。
     
     Lociシステムの弱点は、Pegシステムによって〈掛け釘〉の素材を、実在(ときに非実在)の〈場所〉に縛られることなく、より抽象的な、順序関係を持つ素材へ移行することで克服された。
     Pegシステムの弱点は、〈掛け釘〉の素材を、順序を持つ既存の(黄道十二宮や干支のような)素材に縛られることなく、さらに抽象化を進めることで克服される。
     つまり素材をどこからか見つけてくるのではなく、もっとシステマティックに/単純なルールによって〈掛け釘〉をユーザーが自由に発生させるようにすること。
     この要求に応えたのがPhoneticシステムであった。
     
    major-system-pd.png

    Mink von Weunßhem Relatio novissima ex parnasso de arte reminiscentiae, Das ist : Neue wahrhafte Zeitung aus dem Parnassus von der Gedechtniß-Kunst / Stanislaus Mink von Weunßhem. - [Electronic ed.]. - [S.l.], 1618 [ca. 1648](Phoneticシステムについての最初の著作の一つ)から




    ■Phoneticシステムの実際

     Phoneticシステムが、それまでの記憶術に対して何が画期的なのかといえば、イメージ化した記憶を結びつける〈掛け釘〉(Phoneticシステムでは〈鍵言葉〉と呼ばれる)を、原理的にはいくらでも生成できる点である。
     
     古典的な数字子音置換法を使い、Phoneticシステムの実例を示そう。
     ここでは、よく知られる次の変換表を用いる。
     
    数字 変換する子音 覚え方
    0   s, c(soft C、サ行の音), z zは"zero"の頭文字
    1   t, d, th d,tには下向きの線が1本
    2   n nには下向きの線が2本
    3   m mには下向きの線が3本
    4   r 4"four"の最後の文字
    5   l ローマ数字では50をLを書く
    6   sh, ch, j, g(soft G、ヂャ行の音) jを裏返すと6に似てる
    7   k, c(hard C、カ行の音), g(hard G、ガ行の音), ng 7を2つ組み合わせるとKになる
    8   f, v 筆記体のfは8に似てる
    9   p, b bの鏡文字は9に似てる
    対応なし  ※母音a,e,i,o,uとh、w、yは数字と対応しない
     いくつでも子音の間に入れることができる



    Gouraud.jpg

    Fauvel-Gouraud, Francis, Phreno-mnemotechny, or, The art of memory : the series of lectures, explanatory of the principles of the system, delivered in New York and Philadelphia in the beginning of 1844 (1845) p.93. から。 それまでのPhoneticシステムを取り入れ、Fauvel-Gouraudがまとめたもの。現在、一般的に使われる数字子音変換の最初のもの。



     上の変換表に従い、与えられた数の各桁の数字を子音に置き換え、それらの子音を使った一つの単語をつくる。つまり何桁であっても一つの数字は、一つの単語に置き換えることができる。
     
     この方式は、大きな数の取扱いを簡便にする。。
     数字のひとつひとつに、ひとつのイメージを与えていた形態法や音韻法では、桁数の増加は、そのまま取り扱うイメージの増加につながった。
     しかし、この数字子音置換法では、数字の大きさが増えても子音の数が増えるだけで、桁が1つ2つ増えても、少しばかり長い単語を選べば済む。
     
     「子音に数字を対応させる」ということは、母音(加えて上記表に現れないh、w、yを含む)については自由に子音の前後にいくらでもはさんでよい、ということである。
     たとえば1という数字に対応した〈鍵言葉〉は、teaでもtieでもaidでもいい。eやaやiといった母音は無視されるからだ。
     14という数字に対応した〈鍵言葉〉は、treeでもdrawでもthrowでもいい。

     いくつかの文献から0〜9の数字をどのように単語に変換しているか例をあげる。

      Furst*1 Lorayne
    & Lucas
    *2
    Buzan*3 "Charles57"*4 Mindtools*5
    0 sew       sew
    1 tea tie day tie toe
    2 Noah Noah Noah Noah Noah
    3 may(pole) Ma Ma Ma Ma
    4 ray rye Ra Ra ray
    5 law law law law law
    6 jaw shoe jaw shoe jaw
    7 key cow key key key
    8 fee ivy fee ivy fee
    9 pea bee bay bee pie


    *1 Bruno Furst, You Can Remember (Memory and Concentration Studies, 1962) pp.12-20.
    *2 Harry Lorayne and Jerry Lucas, The Memory Book: The Classic Guide to Improving Your Memory at Work, at School, and at Play (Ballantine Books, 1996) p.119.
    *3 Tony Buzan, Use Your Perfect Memory: Dramatic New Techniques for Improving Your Memory; Third Edition (Plume, 1991) p.90.
    *4 http://members.optusnet.com.au/~charles57/Creative/Memory/index.html
    *5 http://www.mindtools.com/pages/article/newTIM_07.htm

     0から99までの数字について単語に変換した例を、それぞれ1つずつあげよう。

     0. sew  25. nail  50. lace  75. coal 
     1. tea  26. niche  51. lot  76. cage 
     2. Noah  27. neck  52. lane  77. cake 
     3. may  28. navy  53. lime  78. coffee 
     4. ray  29. nap  54. lair  79. cap 
     5. law  30. mass  55. lily  80. face 
     6. jaw  31. mat  56. lash  81. fat 
     7. key  32. man  57. lake  82. fan 
     8. fee  33. mama  58. leaf  83. foam 
     9. pea  34. mare  59. lab  84. fire 
     10. toes  35. mail  60. cheese  85. file 
     11. tot  36. match  61. jet  86. fish 
     12. tan  37. mike  62. chain  87. fog 
     13. tam  38. muff  63. jam  88. fife 
     14. tar  39. map  64. chair  89. fob 
     15. tail  40. rose  65. jail  90. bus 
     16. tissue  41. rat  66. judge  91. bat 
     17. tack  42. rain  67. check  92. bun 
     18. taffy  43. ram  68. chef  93. bomb 
     19. tap  44. rear  69. ship  94. bear 
     20. nose  45. rail  70. case  95. ball 
     21. net  46. rash  71. cat  96. beach 
     22. nun  47. rake  72. can  97. bike 
     23. name  48. reef  73. comb  98. beef 
     24. Nero  49. rope  74. car  99. baby 


     もちろん、各数字に対応付けられる単語は、上記以外にもいくらもある。
     例えば10と対応する英語の単語は、AIDS、Hades、Texas、White House、DASH、DOS、Aedes、Aethusa、Aides、Aotus、AthosDESDISA、DOSDSDawesDiasDiazDisDuse、Dyaus、EDS、Equetus、Exodus、Hades、Hyades、Ixodes、Oates、Odesa、Otis、Otus、Outaouais、THz、TSA、TSH、Taos、Taxus、Texas、Toyohashi、Tues、WATS、Watusi、White House、White Sea、Wodehouse、Yeats、adios、adz、adze、at sea、daisdaisy、dasdash、daysdaze、deixisdesex、diazo、dish、dishy、dose、douse、dowse、doze、dozy、eats、eidos、ethos、head sea、hiatus、hideous、hothouse、ides、idesia、iodise、iodize、odious、otiose、outhouse、……とまだまだある。


     このように数字と変換後の言葉との対応をゆるめることで、語呂合わせとは比較にならない自由度が生まれ、〈鍵言葉〉を原理上は無限に、実用上も無数に近く、つくりだすことができるようになる。
      
     これによって、PegシステムのランダムアクセスとLociシステムの大容量記憶を同時に実現し、〈掛け釘〉Pegの枯渇/オーバーライドによる混乱といった問題にも対処している。
     
     
     
    ■Phoneticシステムの日本語への適用
     
     上の数字子音置換法(メジャー記憶術)は、英語などのヨーロッパ系の言語に依存している。
     
     これを日本語用にローカライズするには、

    数字仮名置換法

    1 → あ行 → あ、い、う、え、お
    2 → か行 → か、き、く、け、こ
    3 → さ行 → さ、し、す、せ、そ
    4 → た行 → た、ち、つ、て、と
    5 → な行 → な、に、ぬ、ね、の
    6 → は行 → は、ひ、ふ、へ、ほ
    7 → ま行 → ま、み、む、め、も
    8 → や行 → や、ゆ、よ
    9 → ら行 → ら、り、る、れ、ろ
    0 → わ行 → わ、ん、*
    *0がわ行だけでは少ないので、ば行、ぱ行も使う。

    という風に行単位で数字を割り当てればよい。
     これで実質的に子音に対応して数字を割り当てていることになり、語呂合わせに対して、単語選択の自由度は大きく広がる。
     ただし子音の後に必ず母音が来る言語の特性上、単語選択の自由度と、変換した言葉の短さの点では、数字子音置換法に対して劣る。
     
     


    ■Phoneticシステムの短所

     従来の記憶術のすべての長所を取り込み短所を克服したPhoneticシステムにも欠点がある。

     それは、システムの抽象性と複雑さとにある。
     一言で言えば、難しい。習得に、そして慣れるのに、時間がかかる。

     また、事前準備についても、もっとも時間をかける必要がある記憶術である。

     原理的には、必要になってからいくらでも〈鍵言葉〉を作ればよいのだが、実用上は、〈鍵言葉〉にかかる時間を節約するために、よく使う〈鍵言葉〉はあらかじめ作っておき、慣れておく(そして記憶しておく)必要がある。
     
     
    ※また日本人にとっては、上記とは別に次のようなことが利用にあたって障害となる。

    ・ヨーロッパの言語を念頭につくられたシステムであるので、音韻構造の違う日本語にはそのままでは使いづらい。
     →単語選択の自由度は若干落ちるが、数字仮名置換法で代用すれば、実用上大きな問題はない。
     
    ・数字子音変換を生かそうとすれば、たとえば英語の単語から〈鍵言葉〉を見つける必要がある。
     →現在では、数字を入力すると、条件に合致した〈鍵言葉〉の候補を教えてくれるウェブサービス*を活用することもできる。


     
    *数字子音変換に関するネット上の資源

     Phoneticシステムでは、原理上いくらでも〈鍵言葉〉を作れることができるが、実用上はよく使う〈鍵言葉〉はあらかじめ作っておき、慣れておいた方がよい。
     自分で〈鍵言葉〉をつくるのがおっくうな人や、数字に対応する子音を含む単語を思いつけない人のために、これまでつくられた〈鍵言葉〉を対応する数字から検索したり、好きな数字を入れれば、該当の子音を使った単語のリストを提案してくれるウェブサービスが存在する。

    Memorize numbers with this online mnemonic generator
    http://www.rememberg.com/


     数字を入力すると、子音変換した単語の候補を、WordNetやWikipedia等にある項目から拾ってリストにしてくれる。
     Wikipediaにある項目には、Wikipediaへのリンクがつくので、提案された単語を知らなくても意味を確認することができて便利。


    The Number Thesaurus
    http://www.the-number-thesaurus.com/Submit.asp


     こちらは逆に、単語を入力すると、子音変換で対応付けられる数字が何かを表示してくれる。
     
     
    iPhone用には次の無料アプリがある。

    NumberThink App

    カテゴリ: 教育

    価格: 無料




    Android用には、有料だが次のものがある。

    Mnemonic Major System - Android Apps on Google Play






    ■改良されたPhoneticシステム
     
     Phoneticシステムは、それまでの記憶術の長所を生かし短所を取り除いた、最も完成されたシステムだが、その複雑さ・難解さから、それ以降の改良は、特性をできるだけ保持したまま、システムを簡素化し、習得しやすく、また利用しやすくする方向に進んだ。
     


     たとえばDominicシステムは、より簡単な変換規則を採用していて、システムを習得する初期コストが低い。
     
    1→A
    2→B
    3→C
    4→D
    5→E
    6→S
    7→G
    8→H
    9→N
    0→O

     Dominicシステムは、2桁の数字をアルファベット2文字に変換し、アルファベット2文字をイニシャルにする人物のイメージへと変換するものであり、数字子音変換のかわりに用いることができる。
     
     数字は人にとって最も覚えにくいものの一つだが、逆に人間の顔は最も記憶に残るものの一つであるが、Dominicシステムは、このことを利用している。
     つまり人間にとって最も覚えにくいものを、最も覚えやすいものに転換するのである。

     実用には、00~99のあらゆる数字に対応して、イニシャルから、とっさに人物を思い浮かべることは難しいので、あらかじめ条件に合った人物のリストを用意しておく必要がある
     つまりこの方法を用いるために、事前に00~99に対応したイニシャル(O.O.からN.Nまで)の、顔が分かる99名をリストにしておくのである。
     以下にリストの例を示そう。

     00 = OO = Ozzy Osborne     50 = EO = Edward James Olmos  
     01 = OA = Orphan Annie     51 = EA = Edward Abbey  
     02 = OB = Orlando Bloom     52 = EB = Ernest Borgnine  
     03 = OC = Oliver Cromwell     53 = EC = Eric Clapton  
     04 = OD = Olympia Dukakis     54 = ED = Ellen Degeneres 
     05 = OE = Omar Epps     55 = EE = Erik Estrada  
     06 = OS = OJ Simpson     56 = ES = Elisabeth Shue  
     07 = OG = Oscar the Grouch     57 = EG = Eva Gabor  
     08 = OH = Oliver Hardy     58 = EH = Ed Harris  
     09 = ON = Oliver North     59 = EN = Ed Norton 
     10 = AO = Annie Oakley     60 = SO = Shaquille O'Neal  
     11 = AA = Andre Agassi     61 = SA = Sammuel Adams  
     12 = AB = Antonio Banderas     62 = SB = Sandra Bullock  
     13 = AC = Agatha Christie     63 = SC = Sean Connery  
     14 = AD = Andy Dick     64 = SD = Scooby Doo  
     15 = AE = Alison Eastwood     65 = SE = Sheena Easton  
     16 = AS = Arnold Schwarzenegger     66 = SS = Steven Spielberg  
     17 = AG = Alec Guinness     67 = SG = Sam Gangee  
     18 = AH = Alfred Hitchcock     68 = SH = Saddam Hussein  
     19 = AN = Alfred E. Neuman     69 = SN = Sam Neill 
     20 = BO = Barack Obama     70 = GO = Gary Oldman  
     21 = BA = Ben Affleck     71 = GA = Gillian Anderson 
     22 = BB = Bugs Bunny     72 = GB = George Bush  
     23 = BC = Bruce Campbell     73 = GC = George Clooney  
     24 = BD = Brian Dennehy     74 = GD = Gena Davis  
     25 = BE = Barbara Eden     75 = GE = Gloria Estefan  
     26 = BS = Ben Stiller     76 = GS = Gene Simmons  
     27 = BG = Bill Gates     77 = GG = Galileo Galilei  
     28 = BH = Bob Hoskins     78 = GH = George Harrison  
     29 = BN = Bill Nye     79 = GN = Greg Norman  
     30 = CO = Conan O'Brien     80 = HO = Haley Joel Osmet 
     31 = CA = Charles Atlas     81 = HA = Hank Aaron  
     32 = CB = Charlie Brown     82 = HB = Halle Barry  
     33 = CC = Charlie Chaplin     83 = HC = Harry Carey  
     34 = CD = Cameron Diaz     84 = HD = Humpty Dumpty  
     35 = CE = Clint Eastwood     85 = HE = Havelock Ellis  
     36 = CS = Charlie Sheen     86 = HS = Homer Simpson  
     37 = CG = Cary Grant     87 = HG = Hermione Granger  
     38 = CH = Charlton Heston     88 = HH = Howard Hughes  
     39 = CN = Chuck Norris     89 = HN = Harriet Nelson  
     40 = DO = Donnie Osmond     90 = NO = Norah O'Donnell  
     41 = DA = Douglas Adams     91 = NA = Neil Armstrong 
     42 = DB = Dave Barry     92 = NB = Ned Beatty  
     43 = DC = David Copperfield     93 = NC = Nicolas Cage  
     44 = DD = David Duchovny     94 = ND = Neil Diamond 
     45 = DE = Dwight D. Eisenhower     95 = NE = Wikipedia:Nora Ephron  
     46 = DS = David Sedaris     96 = NS = Nancy Sinatra  
     47 = DG = Danny Glover     97 = NG = Newt Gingrich  
     48 = DH = Dustin Hoffman     98 = NH = Neil (Patrick) Harris  
     49 = DN = David Niven     99 = NN = Nick Nolte 


     このリストに登場する全員について、あなたが顔を思い浮かべることができるとは限らない。
     分からない人物については、それぞれ顔が分かる人物に差し替える必要がある。


     50音表をつかっても(上記の1 → あ行 、2 → か行 、3 → さ行 、4 → た行 、5 → な行 、6 → は行 、7 → ま行 、8 → や行 、9 → ら行 、0 → わ行ば行ぱ行)、同様の人物リストは作ることができるが、母音を自由に使える子音変換よりも縛りが強く難しい。
     既存のものが見つからなかったので、やっつけ仕事でつくってみたが、「ら行」や「わ行」で苦しんだ。
     苦し紛れに「ご本人の顔は分からないけれど絵柄が浮かぶから」という言い訳をしつつ、「漫画家」カードを乱発してしまった。

     00:わたなべわたる(漫画家)    50:中村文弥(俳優) 
     01:和田あき子(歌手)    51:中村敦夫(俳優) 
     02:渡辺一夫(仏文学)     52:中上健次(作家) 
     03:渡辺貞夫(サックス奏者)    53:中村正三郎(プログラマ) 
     04:若木民喜(漫画家)    54:中村玉緒(女優) 
     05:渡部直己(文芸評論家)    55:中村伸郎(俳優) 
     06:和田春樹(歴史学者)    56:中田英寿(元サッカー選手) 
     07:和田政宗(NHKアナウンサー)    57:中村メイコ(女優) 
     08:和田芳恵(作家)    58:仲間由紀恵(女優) 
     09:綿矢りさ(作家)    59:仲村瑠璃亜(女優) 
     10:オスカー・ワイルド(作家)    60:ビリー・ワイルダー(映画監督) 
     11:アルバート・アインシュタイン(物理学者)    61:林あさ美(歌手) 
     12:アンドリュー・カーネギー(実業家)    62:長谷川健太(元サッカー選手) 
     13:オリバー・サックス (作家)    63:林家三平(落語家) 
     14:阿佐田哲也(作家)    64:浜田剛史(ボクサー) 
     15:アルフレッド・ノーベル(実業家)    65:フローレンス・ナイチンゲール 
     16:荒俣宏(物知り)    66:ハナ肇(コメディアン) 
     17:あだち充(漫画家)    67:長谷川町子(漫画家) 
     18:あさりよしとお(漫画家)    68:袴田吉彦(俳優) 
     19:芥川龍之介(作家)    69:林家ライス・カレー子(漫才コンビ) 
     20:カール・ポパー(哲学者)    70:マツダ・ポーター(トラック) 
     21:カート・ヴォネガット(作家)    71:前田愛(女優) 
     22:桂木桂馬(マンガの登場人物)    72:前田健 (タレント) 
     23:カール・セーガン(物理学者)    73:松田聖子(歌手) 
     24:嘉門達夫(歌手)    74:マリー・タッソー(蝋人形作家) 
     25:カップ・ヌードル(食べ物)    75:松田直樹(サッカー選手) 
     26:小林秀雄(評論家)    76:前田美波里(女優) 
     27:カール・マルクス(哲学者)    77:松任谷正隆(音楽プロデューサー) 
     28:カール・ヤスパース(精神科医)    78:前田米造(映画カメラマン) 
     29:カール・ルイス(陸上選手)    79:前田遼一(サッカー選手) 
     30:スティービー・ワンダー(歌手)    80:山田わか(婦人運動家) 
     31:ささきいさお(歌手)    81:山田晶(中世哲学研究者) 
     32:沢田研二(歌手)    82:山田かまち(詩人) 
     33:ジャンポール・サルトル(作家)    83:山田サチ子(妹) 
     34:さとう珠緒(女優)    84:山田太一(脚本家) 
     35:ジョン・ナッシュ(数学者)    85:山本直樹(漫画家) 
     36: サダム・フセイン(政治家)    86:矢井田瞳(歌手) 
     37:佐々木マキ(絵本作家)    87:山田まりや(女優) 
     38:貞本義行(アニメーター)    88:山田康雄(声優) 
     39:坂本龍一(音楽家)    89:山田玲司(漫画家) 
     40:チャールズ・パース(哲学者)    90:リヒャルト・ワーグナー(作曲家) 
     41:鉄腕アトム(マンガの登場人物)    91:ラッキィ池田(振付師) 
     42:田中角栄(政治家)    92:ルイス・キャロル(作家) 
     43:田辺聖子(作家)    93:頼山陽(史家) 
     44:田中達也(サッカー選手)    94:ルビー・ディー(女優) 
     45:高橋尚子(陸上選手)    95:ルイ・ナポレオン(政治家) 
     46:立花ハジメ(アーティスト)    96:ロラン・バルト(思想家) 
     47:田村正和(俳優)    97:雷句誠 (漫画家) 
     48:たがみよしひさ(漫画家)    98:ローマン・ヤコブソン(言語学者) 
     49:田村亮子(柔道選手)    99:ルードヴィヒ・ローレンツ(物理学者) 

     




    ■Phoneticシステムの適用

     このシリーズで紹介した記憶術には上位互換の関係があり、これまでにPairシステム、Linkシステム、Lociシステム、Pegシステムの紹介の中で挙げられたすべての用途に、Phoneticシステムは用いることができる。
     
     習得と準備の手間(コスト)の大小があるため、簡易的な目的には、より簡便な方法を使ったほうがよい(日常的にはこうした記憶ニーズの方が多いだろう)。
     逆に言えば、これまでの記憶術ではスペック的に力不足となった領域こそ、Phoneticシステムが活躍する場である。




    *ステージ記憶術(memory feat)

     ステージ記憶術(memory feat)の定番の出し物に、会場から好きな単語を言ってもらい、記憶術師の後ろにあるホワイトボードに書き上げていき、何十個か並んだ後に、それを一つ飛ばしに言わせたり、任意の場所(例えば23番目)単語は何かを尋ねたりするものがある。
     正順、逆順、一つ飛ばし、二つ飛ばしで言わせたり(ここまではなんとかLociシステムでもできる)、またN番目の単語は何か?との問いに瞬時に答えることができるのは、記憶術師が何らかのPhoneticシステムを利用しているからである。
     

    *一冊を覚える

     Pegシステムでやったように、目次から小見出しに至るまで、〈鍵言葉〉を対応させ、一冊の書物の内容を記憶することができる。
     phoneticシステムでは、記憶を引っ掛ける〈鍵言葉〉の数に、実質上制限がないので、つまりどれほど詳細な目次であっても、その項目それぞれに〈鍵言葉〉をあてがうことができる。
     同じ理由で、数百の本であっても、すべてのページごとに〈鍵言葉〉を付与し、ページ単位で記憶することが可能である。
     実用目的ではどのページに何が載っているかを記憶する必要はないが、ステージ記憶術(memory feat)のあるものは、この方法を使っている。




    *メンタル・ファイル・システム

     数百の(必要ならそれ以上の)〈鍵言葉〉を作ることができるということは、頭の中にそれだけの数の、自由に出し入れできる〈引き出し〉を用意できるということだ。
     Phoneticシステムによる頭の中の〈引き出し〉の一部を普段使いの備忘録として割り当てておくことで、手帳などの外部記録なしに日常的に必要となるデータ、メモ、情報などを持ち歩くことができる。
     たとえば101番~130番はto do list、131~150番にその日思いついたアイデア、151~170番にidやアカウント関係、171~190番に緊急連絡先……といった具合に。
     当初は手帳等を併用することになるが、やがてそうした外部記憶を使う必要がなくなっていることに気付くだろう。
     

     
    *数字の記憶

     桁数の多い数字であっても、Phoneticシステムは短い単語に変換することができる。
     このため数字を記憶するには最善の記憶術である。



    *暗記したものへのタグ付け

     他の方法で記憶したものであっても、Phoneticシステムをつかって記憶したアイテムのひとつひとつに番号を付与しておくとよい。
     記憶を呼び出す手がかりが増えることとなり、たとえば英単語帳を覚えた場合など、今日は21~40番目の単語を復習しようといったことが英単語帳が手元になくても可能になる。
     一冊の英単語帳には数百以上の単語が載っているが、phoneticシステムなら数百数千の〈鍵言葉〉を作り出すことが可能である。
     

    *Phoneticマップ(マトリクス)

     複数の素材から作った複合Pegで、表や2次元座標についての〈掛け釘〉をつくったが、Phoneticシステムを用いれば、さらに大きな表や詳細な座標を使うことができる。
     トニー・ブザンは、伝統的な数字子音置換法を使って、2系列の〈鍵言葉〉を作り、Phoneticマップを提案している。
     Ron-Hans Evansはは、より簡素なDominicシステムをつかって、100×100=10000の記憶アイテム数を擁するPhoneticマップ〈ドミニック・ホテル〉を提案している。
     

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    (2007/08/25)
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