これは読むことが苦手な人のために書いた文章です。

     苦手な人向けに、1回に1つの話題についてだけ書きます。

     いろいろ書くと、長くなって読むのがたいへんだからです。
     


    つまみ食いしよう


     本を読むのが苦手な人の読み方はけっこうまじめです。

     最初から順番に1ページずつ読もうとします。

     必要なところだけつまみ食いするなんてことはしません。

     全部読もうとするから時間がかかります。
     
     それで力尽きて途中であきらめてしまいます。



     でも本は、一冊全部を読まなくても大丈夫です。

     読みたいところだけ、あるいは必要なところだけ、読めばよいのです。
     
     
     ある本に書いてあることの7~9割は、他の本にも書いてあります。
     
     例外もありますが大抵の本はそうです。
     
     他の本に書いてあることしか書いてない本もたくさんあります。
    (→くわしくは注1へ


     
     これは一冊のうち一部しか読まなくても、(必要なら)他の本を読めば、だいたいは取り戻せるということです。



     
     もちろん同じ本を何度読んだってよいです。

     むしろ良い本なら、同じ本を何度も読んだほうがよいです。
    (→くわしくは注2へ

     
     一冊を通して読んだ人も、二度目以降は、読みたいところだけを、あるいは必要なところだけを読みます。当然です。
     
     本を使う人にとっては、拾い読みがデフォルトの読み方です。
     
     一度しか読まないよりも、何度も拾い読みする方が、よく本を読むことです。
     
     安心して拾い読みし、飛ばし読みしましょう。
     
     

    ジテンをよもう

     どうしても拾い読みなんてイヤだという人もいるかもしれません。
     
     そんな人も、拾い読み専用の本なら気にせず読めるでしょう。


     それはジテンです。

     ジテンには辞典や事典それから字典がありますが、どれもつまみ食い専用=拾い読み専用です。
     
     必要なときに、必要なところだけを、読むように、最初からできています。
     
     最初から順番に読まなくても、最後まで全部よまなくても、全然OKです。
     
     
     一項目ずつ読めばよく、しかも一項目は普通の本よりずっと短いのですぐに読めます。
     
     読んだ内容を忘れてしまっても大丈夫です。
     
     ジテンだから、また引けばいいだけです。
     

     
     
     ジテンはどこから読んでもかまいません。
     
     拾い読みの練習なので、最初から順番に読んだりしない方がよいかもしれません。
     
     その日に見たり聞いたりした言葉、思いついた言葉を引くのがよいです。
    (→くわしくは注3へ
     
     今日が15日なら15ページに載っている言葉を引くとか、なんでもかまいません。
     
     ウィキペディアには、ランダムに項目を表示する機能があって(「おまかせ表示」です、クリックしてみてください)、何を引けばよいか分からない時にお勧めです。


     ジテンをオススメする理由は他にもあります。
     
     ジテンは、本の中でも、かなりおもしろいもののひとつです。
     
     たくさんの人間が膨大な時間をかけて、莫大な知識や情報を投入して作るのですから、不思議ではありません。

     おまけにジテンは世間体もいいです。

     他の本を読んで怒られることはあっても、ジテンを読むことは許してもらえます。

     ひとつ間違えると物知りになってしまうかもしれません。



     ジテンで拾い読みになれたら、普通の本をジテン化することにも挑戦しましょう。
     
     普通の本もジテン化することで、ジテンのように必要なところを繰り返し拾い読みして、利用できるようになります。
     
     
     ジテン化のやり方は次回くわしくやります。
     
     基本的には
     
    (1)役立ちそうなところや、おもしろそうなところに印をつける

    (2)印をつけたところを抜き出して自作の索引をつくる

    だけです。




    (以下は、注です。本文から寄り道した文章です。詳しすぎて、本文の中に入れると、読みにくくなるので、別にしてあります。
     時間や余裕や根気が有り余っているときにでも読めばいいので、普通は飛ばしても構いません。)



    注1 他の本にも書いてある訳

     たくさん本を読んでいる人たちが、一冊を読み終えるのが早いのは(読むことに慣れてスピードが速いほかに)、「あ、これは他の本で読んだことがある」と飛ばせる部分が多いからです。
     
     他の本にも書いてあるようなことを書くなんて、著者はコピペで水増しするようなズルをしているからでしょうか?
     そういう本もありますが、多くは次のような無理からぬ理由からです。
     
     まず書籍は、自主出版でもない限り、雑誌に連載されたり、学術誌に発表されたりして、すでにどこかに掲載されたものを元にして作られていることが多いのです。
     一応は「書き下ろし」の形をとっていても、内容はその著者がどこかで書いたり、話したりしたことが元になっていることが多いです。
     最近の新書は、ほぼ間違いなくそうだと言っていいでしょう。
     「書き下ろし」の企画が通るには、その著者がそうした内容を書くのにふさわしいと編集者や出版社に認められる必要があります。そのためには企画に先立ってその著者がなんらかの形で書くなり話すなりしていて、それを編集者なりがそれを読んだり聞いたりしているはずです。
     同じ著者がかつて書いたものを新たに書きなおすのですから、内容が重なっているのも不思議ではありません。
     これと似た話に、あるヒット作を書いた著者のところに、同じような本を書いてくれという依頼があちこちの出版社から殺到するというのがあります。「今度は若者向けに」「女性向けに」なんてことを言うのです。同じ出版社からは「続編を」「第二弾を」なんて声がかかります。著者は旬を過ぎるのが短いから急ぐのだという、出版関係の人がいました。こうして本屋には同じような内容の本が並ぶのです。
     
     読み手としては、カーライル・ルールを用いて自衛するしかありません。すなわち「出版後1年未満の本は読むな」。みんなが採用すると出版にかかわる仕事はダメになってしまうのですが仕方がありません。
     知り合いの年配の方が「本屋を覗くと、この国はもうダメだと思う」と言っていました。「パン屋を覗くと、大丈夫だと思う」とも言っていましたから、単にお腹が空いていたのかもしれません。
     
     また、文章というものは、どんなに短いものであっても、読み手がすでに知っていること(既知部分)とまだ知らないこと(未知部分)とからできています。
     完全にすでに知っていることばかりだと読む甲斐がないし、完全に知らないことばかりだと読んでも理解できないからです。
     ヒトは既に自分が知っている知識に、まだ知らないことを結びつけることで理解していきます。
     新しいものは、古いものと比較しないと、その新しさが分かりません。
     こうしたことから、ある本には他の本に書いてあることも書かなくてはならないのです。

     
     小説やマンガなど、ストーリー物の場合、私たちは新しい物語を期待して読みます。
     「どこかで聞いたような話」だとがっかりします。
     読書生活の多くをストーリー物といっしょに過ごしてきた人は、他の種類の本にも「他にはない新しさ」を求めがちですが、上に書いたような理由があるので、本の中に「どこかで聞いたような話」が出てきても、大目に見てあげてください。

     ですが、ウケる物語はみんな似ています。例えば、ほとんどのハリウッド映画は(1)みんなが恐れている事態が起こりそう(2)それを食い止めようとする主人公たち(3)しかし上手くいかず追い詰められる主人公(4)しかし危機の中で主人公は成長したり学習したりひらめいたり決意したりして(5)最後は起死回生の一手が決まって危機は食い止められる、というテンプレートに基いてつくられています。
     

    注2 同じ本を何度も読んだほうがよい

     同じ本を繰り返し読むことには、いくつもメリットがあります。

    1.はじめて読む本よりも、繰り返し読んだ本は、速く読める

    2.はじめて読む本よりも、繰り返し読んだ本は、深く読める

    3.繰り返し読むことは、新たに読む本を探し出すコスト(その本がハズレである際に無駄になる探本コストも含む)を省くことができる。

    4.新奇さにのみ浪費されるコストもない。

    5.繰り返し読むことに耐えない本を発見し処分でき、また繰り返し読むことに耐えない本をあらかじめ避ける眼を養うことを通じて、読書生活の長期的なコストを最適化できる。




    注3 その日見たことを引く

     深谷圭助という人は、調べた言葉を付箋に書き込んで、調べた辞典のページにはさむことを勧めています。
     すぐに辞書が付箋でいっぱいになって、辞書がみるみるうちに変わっていくので、辞典を引くやる気につながるというのです。

     個人的には、ジテンが引きにくくなるのでイヤでした。
     
     今はパソコンや携帯で電子辞書を引くことが多いので、検索履歴をメモ&コピペすることにしています。

     その日引いた項目を、日付順にコピペしておくだけでなかなか面白いです。

     次の記事にも、このことが書いてあります。

    食わず嫌いの人へ→頭が冴え物知りになる事典の4つの習慣 読書猿Classic: between / beyond readers 食わず嫌いの人へ→頭が冴え物知りになる事典の4つの習慣 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加





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