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    これまで地上に現れたすべての思想ideasのつながりを1枚にまとめたインフォグラフィック 読書猿Classic: between / beyond readers これまで地上に現れたすべての思想ideasのつながりを1枚にまとめたインフォグラフィック 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

    の、少しだけ補遺。

     哲学者、文学者、芸術家やその他もろもろ、数千の思想家の間の影響関係をひとつのチャートにマッシュアップしたGraph of Ideas
     実は、これをつくったBrendan Griffenは、影響を与えた者と影響を受けた者をコンマで区切っただけのcsvファイルだけれど、元になったデータを公開してくれている。


    All Influences Wikipedia.csv

    さらにGriffenがつかったネットワーク可視化・分析ソフトGephiは、ほとんどマウス操作だけで、巨大/美麗なネットワークグラフが描けて、おまけにオープンソースソフトウェアで、日本語サイトやチュートリアルまである。


    Gephi

    ・本家サイト https://gephi.org/
    ・日本語サイト http://oss.infoscience.co.jp/gephi/gephi.org/
    (・ユーザーインタフェースの説明 ・サポートされているグラフ形式

    ・日本語チュートリアル クイックスタート ←まずはこれだけ
    (・日本語チュートリアル 可視化


    Gephiをダウンロード

     最新の安定版 Gephi 0.8 Alpha
     最新のベータ版(こちらはメニュー等日本語化されてる。後述のSemantic Web Import pluginを使うにはこちらが必要)
     Version 0.8.1-beta https://gephi.org/users/download/




    何かのフラグが立ったような気がしたので、Gephiをダウンロードして、件のcsvファイルを流し込んでみた。
    (・CSV データのインポート

     この記事は、ネットワーク可視化・分析ソフトの紹介ではなく、はじめてソフトに触った素人による、その敷居の意外な低さ(チュートリアルをみただけでできること)についての証言である。



    1 ファイルを取り込むとグラフが描かれる

     次のが、ただファイルメニューから「開く...」でcsvファイルを開いたところ。
    ノード数3594(これが思想家の数)、辺(エッジ)数5011(これが影響関係の数)のネットワークがとりあえず描けた。

    NetGraph1.png

    (クリックで拡大)



    2 メジャーな思想家を選び出す

     これだけだと配置はバラバラだし、ぎっしり詰め込んだだけなので、各ノードのラベル(思想家の名前)を表示しようものなら、とても読めない。
     各ノードをばらけさせようかと思ったが、所詮は絵に過ぎなかったZoom.Itとは違い、せっかくネットワーク・データを取り扱えるソフトに取り込んだのだから、いろいろいじってみることにする。

     まず他の多くの思想家と影響関係を取り結んでいるメジャー思想家だけをピックアップしてみよう。

     フィルタ機能をつかって、「トポロジ」の中の「出次数範囲」をドラッグしてクエリーにぶち込む。
    すると「出次数範囲 設定」というスライドバーが出るからこれを調整する。
     たとえば「出次数範囲20以上」を選んでフィルタボタンを押すと、20人以上の思想家に影響を与えている思想家だけが選び出される。
     するとノード数で24まで絞り込まれ、影響数の特に多い思想家24人が選び出される。

     思想家名を表示すると、文字の重なりがあって読みにくいから、「レイアウト機能」の「ラベルの調整」をつかって重ならないようにしよう。

    NetGraph2.png

    (クリックで拡大)



     そこそこのメンバーが選出された。
     ジョージ・カーリンとレニー・ブルース、それとスティーブ・マーティンとコメディアンたちが孤立しているが、気にせず次へ行こう。



    3 特定の思想家とつながりある者だけを表示する

    「ロールズがいない」とつぶやいていた人がいたので、John Rawlsと彼と影響関係がある思想家を「フィルター機能」の「エゴ・ネットワーク」で選び出そう。
     まずは画面上部の「データ工房」を押し、フィルタに「Rawls」と入力して、ノードに彼がいることを確認する。再び「概観」タブに戻り、「トポロジ」の中の「エゴ・ネットワーク」をドラッグしてクエリーにぶち込む。ノードのIDにはさっき確認した「John Rawls」を入力、深さを「1」にして、フィルタボタンを押す。すると、7つのノードが選ばれた。

    NetGraph3.png

    (クリックで拡大)



     これを深さを「2」にして、影響のある者とさらに影響がある者まで選ぶと、ノード数は一気に95まで増える。
     そのままだと肝心のロールズが埋もれてしまうので着色+大きさを拡大し、ロールズと直接関係がある者も着色した。

    NetGraph3-1.png



    4 すべての思想家を配置したマップを描く

    では、最後に各ノードを適当にバラけさせて、我々の思想家マップをつくってみよう。

    (1)まず結びつきの情報を使って、ノードを分類して色分けする。
    「統計」機能から「モジュラリティ」(コミュニティ検出)を実行する。そえから「パーティション」機能から、ノードタブを選んで、矢印が循環したマークの更新ボタンを押す。するとポップアップメニューがアクティブになってパーティションパラメータを選択できる。今、計算したModularity Classが選択でいるからこれを選んで、適用ボタンを押すと、ノードの色分けがなされる。

    NetGraph4.png

    (クリックで拡大)



    (2)レイアウト機能を使って、ノードをばらけさせて配置する。「レイアウトを選択」のポップアップメニューからForceAtlas2を選び、クラスタリングがより強くかかるLinLogモードにチェックを入れて実行ボタンを押すと、ノードが互いに遠ざかっていく。配置が落ち着いたら中止ボタンを押して止める。

    (3)ノードごとに軽重をつけよう。ランキング機能からノードタブを選び、ランクパラメータを選択というポップアップメニューから「次数」を選択。右から3番目の下向き▽のアイコンをクリックして、ノードの大きさを決める。最小サイズ10、最大サイズ200にして、適用ボタンを押す。

    (4)グラフウインドウの右下にある「T」を押すとラベル(ここでは思想家の名前)が表示される。中央の右側の「A」(サイズモード)からNode Sizeを選ぶと、大きなノードのラベルは大きく、小さいノードのラベルは小さく表示される。その右隣のスライドバーで、全体の文字の大きさが調節できる。

    (5)最後に画面上部の「プレビュー」を押すと、出力用のグラフが得られる。画面右下のエクスポートボタンで、SVG/PDF/PNGへ出力できる。

    NetGraph5.png

    *(おまけ)上のグラフのsvgファイルpdfファイル


     本当はもう少し手を加えて見やすくすべきだが、少ない手間でここまで描くことができる。



    ※ほんとはGephiでつくった(絵ではなく)インタラクティブなネットワーク図(ウェブ上で拡大したりドラッグできる)を公開できるのだが(たとえば、gexf-jsとかsigma.jsを使えば)ちょっとそこまでやれなかった。

    ・gexf-jsの例 ユーゴー「レ・ミゼラブル」の登場人物の相関関係
    ・sigma.jsの例 Hanzi Network / 汉字网



    (補遺の補遺)

     ここまで来れば、データさえあれば、思想家マップの日本語版だって簡単にできそうに思える。

     そう、データさえあれば。

     そういえばGriffen氏は、DBpedia(http://dbpedia.org/sparql)経由でWikipediaのデータを手に入れた、と書いていた(実はGephiには、DBpediaにも対応した、データを直接引っ張って来れるSemantic WebI mportというプラグインがある。データを得る具体的な方法は、次の記事How to Use Gephi to Visualize Related Entries in Wikipedia が参考になる。)。

    本家のDBpediaは主にWikipedia英語版を対象としているが、DBpediaならば日本語版(http://ja.dbpedia.org/)だってある。 これはWikipedia日本語版を対象としていたはずだ。

    すでに時間切れだが、http://ja.dbpedia.org/sparqlから、いろんな意味で最低限のQueryでもって、ウィキペディア日本語の「影響を与えた人物」の項があるものを引っ張ってきて、Gephiに流し込んでみたのが最後にあげたグラフ。


    J-LastGraph.png

    (クリックで拡大)
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