以前に、文章トレーニングとして、元の文章の言葉をそのまま使って行う〈縮約〉の話をした。

    30日で達人級の実力がつく日本語トレーニング〈縮約〉はこうやる 読書猿Classic: between / beyond readers 30日で達人級の実力がつく日本語トレーニング〈縮約〉はこうやる 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加

     今回は、その続きとして、要約の話をする。


     日常書かれる実用文のほとんどは、何かの要約であるか、一部に要約を含むものである。
     そのため文章を要約する技術は、書き言葉を使った情報伝達に不可欠であり、身につければ今日から役に立つ。
     
     そればかりでない。
     要約は、読み書きに関する基礎スキル(必要な情報を探す、異なるソースからの情報を突き合わせる、異同を確認しどの部分についてはどのソースからの情報を選ぶか選択する、趣旨を変えずに同義の言葉に言い換える、要約するなど)のほとんどを含む、ことばのサーキット・トレーニングにもなる。
     
     以下に、母語はもちろん、外国語の読み書きについても、総合訓練となる要約づくりのトレーニングを紹介しよう。
     
     より実践に近く、(ひとつの文章ではなく)複数のソース(文章)を元に、それらを突き合わせ/つなぎ合わせて、ひとつの要約をつくるものである。
     
     元ネタは英語のアカデミックライティングの教科書にあったものだが、最初から専門文献を素材にするかわりに、同一トピックについての複数の文章を見つけやすいという理由から、ブリタニカやアメリカーナといったgeneral encyclopedia(一般の百科事典)を用いている。
     
     トレーニング素材として百科事典は、

    ○ 一つの記事の長さがあまり長くない(本1冊に比べればはるかに短い。すぐ読めるし、繰り返せる)
    ○ 短すぎない(国語辞典のような2行説明では要約もたいへん)
    ○ 専門以外の人間が読めるように難易度は低く抑えられている
    ○ ちゃんとした書き言葉で書かれている

    など、ビギナー向けの特徴を持っている。
     また探し物の《はじめの一歩》として使うべき百科事典に熟知するにも最適である、という余禄もつく(引いたり読んだりするだけよりも、はるかに効果が高い)。

     かつては図書館へでも行かないと、複数の百科事典を引き合わせることはできなかったが(そして百科事典の選び方ガイドがあるほど、たくさんの百科事典がある国・言語ならではのやり方だと思ったが)、今ではネットに接続さえすれば、どこででも可能となった。




    (1)同じトピックを扱った複数の文章を用意する

     手っ取り早いのは、先に述べたとおり、同じ項目を複数の百科事典で引くことである。
     最初はあまり長くない項目を選ぶ。
     あるいは異同が少ないので、人物を扱った項目を引く。



    (2)読みながらキーワードに線を引く

     元になる文章のひとつを読んでいく。
     読みながら、重要である、あるいは要約をつくる際にキーワードになると感じた言葉に線を引く。
     重要だと思う部分が一つの文だったり、それ以上の長さがある場合も、その中の一語だけに線を引く。
       一語を選ぶのが難しい場合は、とりあえず多めに線を引いておき、最後まで読んだ後、線を引いた部分を読み直して、その中から一語を選ぶ(一語を囲む、二重線を引くなどする)という二段階方式を使う。
      一つの文章についてキーワードに線が引けたら、別の文章についても同じようにする。これを文章の数だけ繰り返す。
     
    ※本当は、線を引き始める前に、すべての文章を軽く見ておいた方が、どこに線を引くべきか判断しやすい。
     しかし、下読みせずに、後で「しまった、先に一通り読んどけばよかった」と一度後悔した方が、下読みの習慣が身につきやすい。
     


    (3)キーワードの重複を数える

     すべての文章に線が引けたら、キーワードを抜き出していく。キーワードの横には、いくつの文章に含まれていたかを数字で書く。たとえば用意した3つの文章すべてに、そのキーワードが含まれていたら「3」を、2つの文章に含まれていたら「2」を、1つの文章だけに含まれていた場合は「1」を、キーワードの横に書く。
     
     時には、複数の文章で登場するにも関わらず、(接続詞や助詞、助動詞、指示詞などの機能語は除いて)自分がキーワードとして抜き出せていない言葉があることがある。
     大うっかりによる読み落としの場合もあるが、多くは当たり前すぎて背景に沈んでいた言葉である。
     そうした言葉については、改めてキーワードとして抜き出すか検討する。



    (4)キーワードを使って文をつくる

     そうして拾い上げたキーワードをつかって1文ずつ、要約の元をつくっていく。
     まず、キーワードをいくつかを使って、どうしても落とせない内容を表す一つの文をつくる。
     一文を完成させてから、さらに追加したい内容について、キーワードを使って一文をつくる。
     これを使っていないキーワードがなくなるまで続ける。
     この段階では伝える順序や構成は考えなくてもよい。
     


    (5)構成を整える

     キーワードを使って文をつくる作業が終わったら、必要ならば、文を並べ替え、接続詞を加えて、構成を整える。


    (6)原文を読み返しチェックする

     元になった文章と、できあがった要約を読み比べ、内容・表現の過不足などを確認する。



     慣れてきて、もう少しトレーニングに負荷を加えたい場合は、キーワードの拾い出しと、文章づくりの間に時間を空ける。
     たとえば数日空けて、元の文章の記憶が薄れると難しくなる。



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