文や語句を一定の意味関係・論理関係のもとに結びつけて、論旨や文脈を展開していくうえで、接続詞の役割は重要である。
     単なる文の羅列でも意味は通じるかもしれない。
     しかし、その場合には、受け手に論理構成を委ねており、受け手の側が正確に論理構成ができない場合には誤解が生じる。
     対して、接続詞を適切に用いれば、読み手に論旨の展開を予告することができ、論理構成を誘導し、誤解が生じるリスクを下げることができる。
     
     今回は
     「文は短く」は俗説か?ー〈短文信仰〉を屠り、短文のレトリックと長文のロジックを取り戻すために 読書猿Classic: between / beyond readers 「文は短く」は俗説か?ー〈短文信仰〉を屠り、短文のレトリックと長文のロジックを取り戻すために 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加
    や他の記事で紹介した『よくわかる文章表現の技術(全5巻)』シリーズの著者、石黒 圭 氏が接続詞だけを集中的に扱った、その名も


    文章は接続詞で決まる (光文社新書)文章は接続詞で決まる (光文社新書)
    (2008/09/17)
    石黒圭

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    を参考に、日本語における多彩な接続詞について、できるだけコンパクトにまとめて、文章を書く助けとする。




    論理の接続詞
    前後の文脈が条件関係によって関連づけられることを示す


    • 《順接の接続詞》 条件関係に従った帰結を予告する
      • 「だから」系:原因結果の橋渡し
        • 「だから」…先に述べた事項と後に続く事項が、原因→結果の関係にあることを明示
        • 「したがって」・「ゆえに」・「よって」…論理的必然性の高い結論に帰着させる場合に用いられる。
        • 「そのため」…論文やレポートで用いられる。
        • 「それで」…会話や比較的くだけた書き言葉で用いられる。

      • 「それなら」系:仮定の下に結果を考える
        • 「すると」…ある事態が起こった結果どうなるか、ある行動をした結果どうなるかといった因果関係の発見の用法・・前提不要
        • 「それなら」「それでは」「そうすると」「そうしたら」「だとすると」「だとしたら」
        • 「そうしないと」「そうでないなら」「さもないと」

    • 《逆接の接続詞》 条件関係に反した帰結を予告する
      • 「しかし」系:前提に反することを予測させる
        • 「しかし」…先行文脈と後続文脈の食い違いを強調する。
        • 「だが」…先行文脈の延長線上に後続文脈が来ないことを示す。
        • 「でも」・「それでも」…直前に示された決定的な条件が加わればさすがに事態は変わるだろうという時に、やはり事態に変化がないことを予告
        • 「ただ」「だが」「ですが」「けど」「けれど」「だけど」「とはいえ」「とはいうものの」「そうはいうものの」

      • 「ところが」系:強い意外感をもたらす
        • 「ところが」…想定外の展開を表す逆接に使用
        • 「にもかかわらず」…論理的な受入れがたさ・・・先行文脈から考えて、そうなるのが当然の理だが、現実はそうならない。
        • 「それなのに」…感情的な受け入れがたさ・・・後続文脈に書き手にとって受け入れがたい内容が来る。
        • 「なのに」「そのくせ」



    整理の接続詞
    類似の内容が対等に並んでいることを示す


    • 《並列の接続詞》 共通点・類似点のある事柄を並べる
      • 「そして」系:つけくわえの万能選手
        • 「そして」…最後に一つ大切な情報を付け加える働き。
        • 「それから」…何度でも重ねて使える。
        • 「また」…段落を超えた話題を結びつける。

      • 「それに」系:ダメを押す
        • 「それに」「それにくわえて」「そればかりか」「そのうえ」「ひいては」
        • 「しかも」…似たような別の事柄に言及するのではなく、同じ対象に別の側面から更に深く突っ込んでたたみかけるニュアンス

      • 「かつ」系:厳めしい論理づけ
        • 「かつ」…AかつB→AもBも両方同時に満たす。
        • 「および」…AおよびB→AもBも同時にとは限らないが満たす。
        • 「ならびに」…AおよびBならびにCおよびDのように「および」よりも大きい接続をあらわす。

    • 《対比の接続詞》 相違点・対立点のある事柄を並べる
      • 「一方」系:ふたつの物事の相違に注目
        • 「反対に」・「反面」・「ぎゃくに」…先行文脈と後続文脈の内容が文字通り反対でなければならない。
        • 「それに対して」…上記ほど厳しくないが、少なくとも対になっている必要がある。
        • 「一方」・「他方」…対になっている必要なく、前後になんらかの相違点があればよい。
        • 「また」…共通点を見せる。

      • 「または」系:複数の選択肢を示す
        • 「または」・「もしくは」・「ないし(は)」…二つの中からの選択を表す。「または」は大きな接続、「もしくは」は小さな接続
        • 「あるいは」…三者以上からなるグループのなかから二つを選んできて示すケースが多い。
        • 「それとも」…話し言葉の疑問文で

    • 《列挙の接続詞》 共通点・類似点のある事柄に順序をつけて並べる
      • 「第一に」系:順序フリーの列挙
        • 「第一に」・「第二に」・「第三に」
        • 「一つめに」・「二つめに」・「三つめに」

      • 「最初に」系:順序重視の列挙
        • 「最初に/はじめに」
        • 「つづいて/ついで」
        • 「その後」

      • 「まず」系:順序無視/重視どちらもいける列挙
        • 「まず」「つぎに」「さらに」


    理解の接続詞
    読み手にとって不足している情報の補填を予告する


    • 《換言の接続詞》 先行表現を言い換えること予告する
      • 「つまり」系:短く端的な言い換えの予告
        • 「すなわち」…先行文脈と後続文脈の対象性が最も保たれている。=に近い
        • 「つまり」…先行文脈の内容をわかりやすく言い換えることを予告。
        • 「すなわち」よりも主観が入る。
        • 「ようするに」…内容の核心をつかんで端的に言い換え。
        • 「いいかえると」・「換言すると」…単なる言い換えの予告
        • 「いわば」・「いってみれば」…=「たとえていえば=比喩的・象徴的表現に言い換え予告」

      • 「むしろ」系:否定的に受け継ぐ予告
        • 「むしろ」・「かえって」…常識的、直感的に当然のように見える内容を否定するときに使う。
        • 「そうでなく」・「いな(否)」…すでに言った内容を否定し、それに代わる修正的な内容を示すときに使う。
        • 「というより」・「というか」…先行文脈の内容そのものでなく、表現の仕方を問題にするときに使う。
        • 「かわりに」・「そのかわり」…代わりのもので埋め合わせるときに使う。

    • 《例示の接続詞》 先行文脈の理解を助けるため例を示すことを予告する
      • 「たとえば」系:抽象と具体の往還を助ける
        • 「たとえば」…考えられるいくつかの例のなかから一つ選んで示すときに使う。
        • 「具体的には」…例がひとつに限られるときに使う。
        • 「実際」・「事実」…事実によって論拠を示す。

      • 「とくに」系:特別な例で惹きつける
        • 「とくに」
        • 「とりわけ」
        • 「こと(殊)に」
        • 「なかでも」

    • 《補足の接続詞》 先行文脈で欠けていた理由や条件などを補うことを予告する
      • 「なぜなら」系:使わない方が洗練
        • 「なぜなら」「なぜかというと」
        • 「だって」「なにしろ」「なにせ」
        • 「というのは」「というのも」

      • 「ただし」系:補足的だが理解を助ける情報
        • 「ただし」…先行文脈の成立を保証するために必要な条件を、後続文脈で補うことを予告する
        • 「もっとも」…「ただし」に近いが、命令のような強い働きかけのものとは共起しない
        • 「なお」…「本筋からは外れるが、必要な情報なので簡単に触れておく」という意味
        • 「ちなみに」…「本題とは直接関係ないことだが、参考になるかも知れないので、一言いっておく」という意味


    展開の接続詞
    話の本筋を切り換えたりまとめたりする


    • 《転換の接続詞》 話の大きな切れ目を示し、その後の展開を予告する
      • 「さて」系:別の話題を仕込む
        • 「さて」…書き手がもともと準備していた話題に戻ることを予告する。
        • 「ところで」…自由な連想に基づく話題の切り換えを表す。「さて」にくらべて、行きあたりばったり的な感じが強い。
        • 「それにしても」「それはそうと」「それはさておき」

      • 「では」系:話の核心に入ることを知らせる
        • 「では」…それまで述べられてきたことが佳境に入り、いよいよ話の核心が示されるという最終段階に入る。
        • 「それでは」
        • 「じゃあ」…話し言葉専用

    • 《結論の接続詞》 それまでの話をまとめ、結論が来ることを予告する
      • 「このように」系:素直に文章をまとめる
        • 「このように」…この+ように=以上述べてきた内容のとおり
        • 「こうして」「かくして」
        • 「以上」「結局」

      • 「とにかく」系:強引に結論へ急ぐ
        • 「とにかく」…議論の過程を飛ばして結論を急ぐときに使われる。
        • 「いずれにしても」…どれを選んでも同じ結論にいたるという意味を表す。
        • 「いずれにしろ」「どっちにしても」「どっちみち」

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